
フジテレビの女性アナウンサーによる芸能人接待問題などで、セクハラが横行する「スイートルーム飲み会」が話題になっている。同社の第三者委員会の報告書や、週刊文春vs松本人志裁判で提出された資料を検証し、飲み会の悪質な手口や、その危険性がどのようなプロセスを経て問題提起されたのかを明らかにする。(フリージャーナリスト 赤石晋一郎)
文春記者とフジ第三者委員会に共通する
ハラスメントの「裏取り」の手法とは?
「私は原告の待つベッドルームに押し込まれ、性的行為を要求された。必死に抵抗したが、最後は口に××を出された」
週刊文春vs松本人志氏の裁判資料に描かれていたのは生々しいやりとりだった――。
また、フジテレビ第三者委員会の報告書は、世間の想像を上回る驚くべき内容で、同社はさらなる激震に見舞われることになった。
調査報告書で中居正広氏の驚くべき裏の顔が明かされる中、女性アナウンサーとのトラブルとともに注目されたのが外資系ホテル・スイートルームでの極秘飲み会である。報告書ではスイートルーム飲み会でもセクハラがあったと指摘し、中居氏には新たな“余罪”があったことが判明したのだ。
スイートルーム飲み会の悪質性が際立ったのがその手口だった。女性アナウンサーはスイートルーム飲み会だと知らずに誘い出され、飲み会途中でフジテレビの元編成幹部らは途中退席し女性アナウンサーを置き去りにした。芸能人の飲み会の闇に世間は震撼したのだ。
スイートルーム飲み会と聞いて思い出されるのが、中居氏と盟友関係にある松本人志氏だろう。中居氏と松本氏、そして元編成幹部の三者はフジテレビの『まつもtoなかい』で仕事を共にするなど、公私にわたって親しい間柄にあるとされていた。
その松本氏もスイートルーム飲み会を開いていたことを報じたのが2023年末の『《呼び出された複数の女性が告発》ダウンタウン・松本人志(60)と恐怖の一夜「俺の子ども産めや!」』(週刊文春 24年1月4日・11日号)という記事だった。同記事を松本氏は名誉棄損だとして約5億5000万円で提訴(後に訴訟取り下げ)したことは大きく報道されたのでご記憶の方も多いだろう。
そこで当稿では、週刊文春vs松本裁判で提出された資料、フジテレビ第三者委員会の報告書を読み比べて、芸能人スイートルーム飲み会はどのようなプロセスを経て問題提起されたのかを検証したい。松本裁判については東京地裁に保管されている訴状や準備書面、各種資料を閲覧した。第三者委員会報告書は公開されているものを参照した。