この会社を、これからの時代に合った組織にするためには、さまざまなもの――特定利益団体、縁故主義、行きすぎた官僚主義の社風――と戦っていかなければならないことをよく理解していた。

 ウェルチは在任期間の最初の2年で、71の事業と製品ラインを売却し、生産性を劇的にアップさせたが、同時に、多くの社員から深い恨みを買うようにもなった。普通の経営者であれば、従業員や組合からこれほど激しい抵抗に遭いながら、徹底した変革を推し進めようとはしないものだ。

 たとえば、家庭用品事業を売却した際には、激怒した従業員たちから抗議の手紙が殺到した。「あの時代にEメールがあったら、会社のすべてのサーバーがダウンしていたにちがいない」とウェルチは言う。抗議の手紙はどれも似たような訴えを含んでいた。

「いったい何様のおつもりですか?会社の利益のためなら何でもするということですか!」

 そのような声をよそに、ウェルチは最初の5年間で採算の悪い事業部門で働く11万8000人をリストラした。「会社全体が、将来の不安に真正面から向き合おうと必死だった」とウェルチは振りかえっている。

仲良しサークルとなっていた
会社の雰囲気を刷新

 彼は2週間ごとに25人程度の従業員と円卓会議を開き、社員全員と率直に向き合った。

「私は社内の行動規範を変えたかった。より多くの成果を、より少ない人員で生み出せるようにと。必要なのはトップレベルの人材だけだと繰りかえし主張した」

 ウェルチは、会社のここが悪い、あそこが悪いと欠点ばかりあげつらったり、自分が正当に評価されていないと不満ばかり言ったりする人たちには我慢がならなかった。

 こんな態度の部下を持つ上司は自業自得だとウェルチは言う。なぜなら、彼らこそ、社員がこんなことを主張するカルチャーをつくりだした張本人だからだ。

「部下たちはまったく勘違いしてしまっている。彼らはあなたが彼らのために働いていると思っている」

 ウェルチは、「優しい」幹部に対してはこう助言する。

「あなたが経営しているのは社交クラブでもカウンセリングサービスでもない、会社なんだ」