日本の製造業では年功序列の副産物、「部下なし管理職」が今なお残る。出世コースからは外れていても、意外にも「コスパの良いポジション」だという。特集『部長・課長の残酷 給料・出世・役職定年』の#20では、部下なし管理職の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
人員ピラミッドのゆがみが生む「部下なし管理職」
意外な高待遇の実態とは
年功序列が根強く残る日本の製造業では、仕事の出来不出来にかかわらず、一定の昇進が約束される企業も珍しくない。その結果生まれるのが、「部下なし管理職」だ。
特にバブル世代の採用の多かった企業では、社内の人員ピラミッドがゆがんでいることが多く、50代社員の比率が高くなっている。
こうしたシニア社員たちは、スピードに差はあっても総じて昇進しているため、「部」や「課」の数の何倍もの部下なし管理職が大量発生してしまっているのだ。
管理職でありながら組織の「管理」をすることがないこのポジションは、出世コースから外れた「負け組」と思われがちだ。
しかし、部下なし管理職は意外にも好待遇であり、当事者たちはむしろ「勝ち組」を自負している可能性すらあるという。
次ページでは、建機大手コマツの出世事情と年収水準を例に、部下なし管理職の“高コスパ”な実態を明らかにする。