どういうことだ……。
書いてある内容はほとんどわかるのに、最後の一文で急に先行きが見通せなくなります。
最初に1個のナッツが買われた。そして前の客の倍の数ずつ買われていき、最後はナッツが1個残った。そこまではわかる。
でもいきなり、「1袋の重さは?」と問われる。重さの情報なんてほぼないのに……。
せめて「1個=1グラム」とかの条件がないと解けないのでは?
でも、問題のミスではありません。それがわからない状態で、答えを導かなくてはいけないのです。
ヒントはどこにある?
文章だけで見るとわかりづらいので、とりあえず手を動かして状況を俯瞰してみましょう。
それぞれの客が買ったナッツの数を確認してみます。
2人目の客が2個
3人目の客が4個
4人目の客が8個
…最後の客が?個(50グラム)
……なんで最後の客の情報だけ「重さ」なんだよ!
と叫びたくなりますが、重さに関する情報はこれだけですから、ここが大きなヒントになるのでしょう。
また、気になるのはラストの部分。
“商人の手元にはナッツが1個残った。”
「ナッツの全体数」「客の人数」「ナッツ1個の重さ」など不確定な要素が多すぎて混乱しますが、そのなかでも「最後に1個残った」と具体的な数が出てくることが、何かのヒントになりそうです。
「最後のナッツ」の使い方
というわけで、この1個のナッツをどうにかしてみましょう。
そうですね……。
それぞれの客が買ったナッツの数を見てみると、
2人目以降が買ったナッツはすべて偶数です。
それなら1人目の客が買った数に、この最後の1個のナッツを加えて、すべて偶数にしてみたら少し考えやすくなるでしょうか。
2人目の客が2個
3人目の客が4個
4人目の客が8個
おや、何か新たな規則性が生まれましたね。
1人目と2人目は合計4個のナッツを買っています。この個数は、3人目が買ったナッツの数と同じです。
そして1人目、2人目、3人目は合計8個のナッツを買っています。この個数は、4人目が買ったナッツの数と同じです。
同じことが、ずっと言えます。
つまり、
どの客も、自分より前に買った客全員分と同じ数のナッツを買ったということになります。
ここで問題文を見てみましょう。
“最後の客は50グラム分のナッツを買い”
最後の客が買ったナッツの数はわかりませんが、その重さは50グラムだとわかっています。
そして先ほど、最後に残った1個を「1人目の客が買った数」に加えたとき、どの客が買ったナッツの数も、それまでの客全員が買ったナッツの数と同じになるとわかりました。
つまり、最後の客より前の客全員が買ったナッツに、最後に残ったナッツ1個を足した数は、最後の客が買ったナッツの数と同じになるということです。
最後の客が買ったナッツの重さは50グラム。
ということは、すべてのナッツの合計は100グラムです。
これが、最初に袋に入っていたナッツの重さです。
100グラム
この問題から学べること
結局、「ナッツ1個の重さ」「ナッツの合計数」は最後までわかりません。でも、解ける。いやー面白いですね。
つい「ナッツ1個の重さとナッツの数を突き止めるべき」と考えてしまいがちですが、そこにとらわれずに考えることがポイントでした。「最後にナッツが1個残った」という重要ではなさそうな情報も、考え方を変えることでそれが大事なヒントだと気づけます。
現実も同じですよね。目の前の問題がいままでの常識では切り崩せなかったら、とても面倒ではありますが別のアプローチをひとつずつ試していかないといけないですから。
POINT
・「こうしなくちゃいけない」にとらわれずに、わかっている情報をさまざまな角度で眺めて、いろいろな方法を試してみると、ヒントが見えてくる
(本稿は、シリーズ最新作『もっと!! 頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋した内容です。本シリーズでは同様の「読むほどに賢くなる問題」を多数紹介しています)











