例えば、今全く運動をしていない人は、次の運動から始めてみるのはどうだろうか。

・ 朝のシャワー前に、ゆっくりとした動作でスクワットを10回×3セット

・ 夜、テレビを見ながら腕立て伏せを10回×2セット 

 この程度でも、太ももやお尻、背中といった「体の中でも特に大きな筋肉」は十分に刺激される。医学的には、こうした大筋群を使う運動ほど、ホルモン反応が起きやすいことが知られている。

 ここで誤解してほしくないのは、「10回」という数字そのものが重要なのではない、という点だ。目安は、10回前後で「ややきつい」と感じる負荷である。フォームを保ったまま行い、最後の数回で軽く息が上がる程度であれば、テストステロン分泌を促す刺激としては十分だ。

「ジムに行けないからできない」と考える必要はない。高重量のマシンや完璧なフォームよりも、継続して筋肉を使っているかどうかの方が、ホルモンの観点でははるかに重要だ。

 実際、テストステロン分泌という視点で見ると、1回のトレーニングで限界まで追い込む必要はない。過度な追い込みは、体にとっては強いストレスとなり、かえってストレスホルモンが優位になる可能性もある。

 むしろ、「もう少しできそうだ」と感じる手前で終えるくらいが、40代にはちょうどいい。

 翌日に強い疲労を残さない程度の負荷を、定期的に入れる。その積み重ねこそが、テストステロンを出し続けられる体をつくり、40代以降の安定したコンディションにつながっていく。

大切なのは頑張りすぎないこと
程よい負荷を毎日続ける

 もう一つ重要なのは、「いつやるか」をあらかじめ決めておくことだ。

 これは新しいことを始めて、それを定着させるために効果的な考え方だが、おすすめなのは、朝か仕事終わりのどちらかに固定すること。「気が向いたらやる」「時間が空いたらやる」というスタンスでは、忙しい40代の日常の中で、筋トレが優先されることはまずない。

 歯磨きやシャワーと同じように、「この時間帯には体を動かす」と決めてしまう。そうすることで、筋トレは意志の力ではなく、生活習慣として定着していく。

 40代以降も元気な人たちは、特別なことをしているわけではなく、ただ、体に「まだ使われている」「まだ必要とされている」というサインを、定期的に送り続けているだけなのだ。