特別な経歴や夢がなかった“普通の就活生”から、食品大手を含む22社から内定を獲得し、現在は就活ノウハウの発信を8年間続けている「就活マン」こと藤井氏。その実体験をもとにした著書『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、「自己PRで話せることがない」「インターンに参加していない」といった就活に不安を抱く学生と、そっと背中を押したい保護者に読んでほしい就活戦略が満載の一冊です。今回は、SoZo株式会社 代表取締役として活躍しながら、3人の子どもを育て、実際に就活もサポートしてきた『1冊まるごと「完コピ」読書術』著者のあつみゆりか氏との特別対談が実現しました。親からみたリアルな就活の視点から、就活生のやる気を奪う親の行動について語っていただきます。(構成/ダイヤモンド社・森)

高学歴でも就活が台無しに…就活生のやる気を奪う親の行動とはPhoto: Adobe Stock

就活生の親がやってはいけないこと

高学歴でも就活が台無しに…就活生のやる気を奪う親の行動とは『1冊まるごと「完コピ」読書術』(PHP研究所)

――就活生へのサポートは重要ですが、親として「やってはいけないこと」は何でしょうか。

あつみゆりか氏(以下、あつみ氏):親が絶対やるべきじゃないのは、親の希望を押し付けることです。安定しているところやボーナスが出る企業、医療系に行ってほしいなど、親が子どもの幸せを願って「いい」と思うことは、自分にとっての価値判断であって、子どもにとってのいい悪いとは違うことが多いからです。

藤井智也氏(以下、藤井氏):就活には正解がないじゃないですか。正解があること(例えば受験勉強で過去問をやった方がいい)に対してはアドバイスしていいと思うんです。でも、正解がないことに対して親がとやかく言うと、本人の意思に背いてしまう可能性もあって、親子関係に断絶が生まれます。

あつみ氏:親の希望を押し付けてうまくいかなかった場合、子どもの思考が「お母さんが言ったところをやってうまくいかなかった」という風に繋がってしまう危険もあります。就活はもう立派な大人としてのフェーズ。子どもを一人の人間として扱うというスタンスが大事です。親の所有物じゃない、ということを肝に銘じないと、せっかくのアドバイスも弾かれます。

――以前、親が「教えるプロではない」と自覚することも大切だと仰っていたことも印象的でした。

あつみ氏:そうですね。私は、親が勉強を教えることは「百害あって一利なし」だと思っています。自主性が下がるし、親子で甘えが出るし、効率も悪い。だから親は「先生に聞きに行け」というペースだけ見守るべきです。自分で学習していく能力の基本は人に質問する能力だからです。

企業選びの時に親ができるアドバイス

――企業を選ぶ際、親はどのような軸をアドバイスすべきでしょうか。

藤井氏:私は、プラス側(強み)とマイナス側(絶対避けたいこと)の両面から考えてあげるのが良いと思います。プラス側は、親が一番見つけやすい子どもの強みを活かせるところを勧めるんです。たとえば、「昔からこういうことが上手だよね、得意だよね」と。その延長線上で、例えば「それならコンサルとかも向いているかもね」なんてアドバイスができるかもしれません。

マイナス側は、絶対避けたい条件を見つけてあげることです。私は就活の時に「年間休日120日以上の企業しか入らない」と決めたんです。休みがないと生きてる意味がないと思ったからです。

――自分の気持ちに正直になり、「わがままになっていい」ということを親が手伝ってあげられたら、マイナス側からの後押しにもなりそうですね。

あつみ氏:そうですね。道を決めるといったことについては、親が論を押し付けるのではなく、子どもが自分の頭でたどり着かせてあげることがすごく大事です。私の長女がメーカーのマーケティングに興味を持ったように、まずは「何をしてる時が楽しかったの?」という自己分析を手伝って、職種から特定してあげることもおすすめです。

――あつみさん、藤井さん、ありがとうございました。

(本稿は、『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』の著者・藤井智也氏と、『1冊まるごと「完コピ」読書術』の著者・あつみゆりか氏への対談インタビューをもとに構成したものです)