【所得税の非課税枠の引き上げ】
・変更点:基礎控除と給与所得控除の合計が、最大160万円→178万円にアップ
・対象者:年収200万円以下年収665万円以下の中間層(納税者の約8割)に拡大
・メリット:税金がかかる「課税所得」が減るため、多くの人が実質的な「減税」を実感できる

 所得税が発生するボーダーラインである「年収の壁」が、26年から178万円へと引き上げられます。年収の壁は、全ての人に適用される「基礎控除」とサラリーマンらが対象の「給与所得控除」の合計額で、現在は160万円です。

 所得税は年収から各種控除を差し引いた額に税率をかけるため、控除額が増えると税負担は軽くなります。引き上げの対象は年収665万円以下とされ、納税者の約8割が該当します。

 サラリーマン世帯に直結する変更点は、まだあります。

サラリーマンの家計に直結する
住宅ローン減税はどうなった?

 25年3月末に適用期限を迎える予定だった「住宅ローン減税」。今回の税制大綱では、事前に国土交通省が要望していたとおり、期限が30年12月31日まで延長となりました。また、中古住宅への適用限度額が新築並みに優遇されることになります。

 控除の最大限度額が3000万円から大きく引き上げられ、環境性能の高い住宅(認定住宅、ZEH水準住宅)なら3500万円、夫婦のどちらかが40歳未満の若者夫婦世帯または19歳未満の子どもがいる子育て世帯の場合は4500万円にまで上がります。

 10年間だった減税適用期間も、新築と同じく13年間に延長されました(認定住宅およびZEH水準住宅、省エネ基準適合住宅)。

認定住宅:認定長期優良住宅(長期にわたり良好な状態で使用するための対策が取られた住宅)および認定低炭素住宅(CO2の排出を抑えるための対策が取られた住宅)
ZEH水準住宅:断熱性能等を大幅に向上させるとともに省エネ設備の導入により、大幅な省エネを実現した住宅

 中古住宅については、控除の対象となる最低床面積要件も引き下げられます(新築住宅同様に50平方メートル→40平方メートル)。

 一方で、土砂災害や洪水など災害レッドゾーン地域に新築住宅を建設すると、住宅ローン控除の対象外になるため注意が必要です。

固定資産税の減額措置も
延長決定

 耐震やバリアフリー、長期優良住宅化などのリフォームを行った住宅について、翌年度分の固定資産税を減額する措置も延長が決定し、31年3月31日まで5年間延長されます。

 減額措置の対象となる床面積要件について、上限を240㎡以下(現行280㎡以下)へ引き下げ、下限は40㎡以上(現行50㎡以上)へ引き下げられました。