「相談があるんだけど」で
若手が話すきっかけをつくる

 あとは誰でも抵抗なく話しやすいテーマでありながらも、ややパーソナルな話もできてオススメなのが、「名前の話」です。

 名前は適度にオープンで、適度にパーソナルな情報です。私も「五百田さんって珍しいお名前ですね?」と聞かれることが多いですが、名前をきっかけにした話ってさまざまな話題につながって話しやすいんです。

 あとは、こちらから相談してみるのも良いですね。「いや、ちょっと相談があるんだけどさ、今マンションで隣の人がうるさくて困ってるんだ。どうしたらいいと思う?」というように、深刻すぎない程度の悩みについて意見を求めてみましょう。

 実は、やり手の部下たちは、このように上司にさりげなく相談を持ちかけるらしいです。ちょうど良い相談事を用意しておいて、上司にまんまと気持ちよく説教をさせると……。この逆の発想で、若手が話すきっかけを作れると良いですね。

 気をつけたいこととしては、第1回でもお話ししたように、上下を感じさせる話し方は避けたほうがいいです。年齢や男女で区別するような話題も同様です。「平成生まれは○○だから」「女の人はこういうとき大変でしょ」というような話し方はやめましょう。

 先ほど挙げたように自慢話、説教、そして昔話。この三つは避けたいところです。「私は説教なんてしない」という人も、アドバイスはしていることが多いです。アドバイスも説教です。

メニューを見ずに
「生中ひとつ!」と注文していませんか?

会話IQ五百田達成さんの著書『会話IQ 本当に頭がいい人の話し方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 職場では、対等で平等なコミュニケーションを心がけていても、飲み会や外食の場面では注意散漫になってしまうこともあります。

 例えば、取引先や上司への対応は丁寧なのに、店員さんへの言い方がきつかったり、態度が横柄だったり……そうしたところも部下は見ています。気をつけましょう。

 また、店員さんに注文する場面。居酒屋で「すいませーん!生中ひとつ!」、カフェで「あ、ホットで」などとメニューを見ずにオーダーすることはありませんか。

 些細なことのように思われるかもしれませんが、メニューを見ずに雑に注文してしまう人は要注意。

店員さんはそうした注文を受けて、「○○の銘柄で良いかな?」「ブレンドコーヒーのホットのことだな」というように、その店のメニューに翻訳するひと手間が必要になります。「居酒屋では定番だから」と思っていても、その店には商品がないということもあり得ます。

 中には、店にないものを頼んで「ありません」と言われ、「えー、今後のために置いといたほうがいいですよ」と説教じみたことを伝える人も……。お店にとっては余計なお世話です。

 メニューはお店での共通言語です。自分本位ではなく、その場に適切な言葉を使える人なのかどうか。注目している人は少ないかもしれませんが、意外とこうした場面でコミュニケーション能力の有無が見えてくるのです。