【年末年始】「遺言書のない家」が必ず直面する“相続の落とし穴”とは?
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

【年末年始】「遺言書のない家」が必ず直面する“相続の落とし穴”とは?Photo: Adobe Stock

「遺言書のない家」が必ず直面する“相続の落とし穴”とは?

 本日は「相続の基本」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合う際、ぜひ参考にしてください。

 遺産の分け方には法律で決められたルールが存在します。それは「①遺言書があれば、遺言書の通りに分ける」「②遺言書がなければ、相続人全員の話し合いで分け方を決める」というものです。

 一方で「配偶者が2分の1、子どもが2分の1」という割合を聞いたことはありませんか。これは「法定相続分」といい、分け方の目安として国が定めているものです。ただ、この法定相続分はあくまで目安。相続人全員の同意があれば、どう分けてもOKです。

 遺産を相続できるのは、民法で定められた「相続権を持つ人」だけです。この権利を持つ人のことを「相続人」と呼びます(亡くなった方のことを法律用語では「被相続人」といいます。

相続人は誰になるのか。遺産はどう分けられるのか?

 まず、どのような家族構成だったとしても、配偶者は必ず相続人になります。そして子どもがいれば、子どもも相続人になります。この場合の法定相続分は配偶者が2分の1、子どもが2分の1です。子どもが2人以上いる場合は、2分の1を子どもの人数で割ります。子どもが3人なら6分の1ずつです。下図を見てください。

【年末年始】「遺言書のない家」が必ず直面する“相続の落とし穴”とは?出典:ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】

 もし、亡くなった方に子どもがいないなら、相続人は配偶者と直系尊属(親や祖父母)になります。この場合の法定相続分は配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。そして、もし子どもがおらず、両親や祖父母も他界している場合は、兄弟姉妹が相続人になります。この場合の法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。このように相続人は法律で厳格に決められているのです。

 ちなみに、孫が相続人になることもあります。相続人になるはずの子が先に亡くなっている場合、その子(孫)が相続の権利を持ちます。これを代襲相続と言います。

 なお、兄弟姉妹が相続人となる場合、その兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、甥と姪に代襲相続されます。結果として、相続人の数が非常に多くなることも珍しくありません。

遺産の分け方が決まったら?

 遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成しましょう。これは、相続人全員で決めた「遺産分割の内容」を記した書類です。「言った言わない」の問題をなくすために、相続人全員で確認し、署名押印(実印)。各自が1通ずつ保管しましょう(押印は必須)。作成に不安がある場合は、司法書士などの専門家に依頼しましょう。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)