一方、これまで無縁だった悩みも発生しました。冬場に発生する、部署間の「ラインの争奪戦」です。

カカオ事業部に「未来」を
見出してくれる仲間を増やす

 カカオ事業部はBtoBを専門とする同業他社と違ってBtoCに明るい点が強みです。

 しかしそれは、弱点でもあったのです。BtoC部門とのラインの競合など、原料専門の会社なら起こりえないことです。

「原料なんかより、うちだろう!」「こっちの忙しいラインを取るな!」

 花形部署からこう言われて、内心カッと来ることもしばしばでした。

 が、言い返しても、その先にあるのは不毛な口論になること確実です。

 それより大事なのは、人を巻き込むこと。

 私たちの仕事に価値を、さらに言えば「未来」を見出してくれる人を増やすことです。

 生産部門との連携では、それができました。個々の研究員に協力を頼むときにはいつも、「面白そうでしょ?」「これつくれたら、すごくない?」と言ったものです。その言葉に共感してくれたからこそ、彼らは通常業務の外側にある仕事を喜んで手伝ってくれたのです。では、それを今、再現するとしたら?

 私たちの周りには、3つのグループがありました。

 すでに協力してくれている人々と、ニュートラルな人々と、ラインを取り合う人々。

 とすると、ニュートラルな人々を巻き込むのが妥当な道です。

 取り合う人々を巻き込むのは非現実的です。逆の立場で考えてみれば当然です。

「看板商品のほうが、原料より価値があるに決まってる」

 というのが彼らの考えです。

最終的に「未来」があるのは
原料かヒット商品か?

 では本当のところ、その価値はいかほどか。

 私が主張したのは、「面白い」「すごい」といった感情に訴える話ではなく、より実際的な話でした。

 最終的な個別利益率で比べると、最終製品と原料商材には、実はさほど差はありません。

 最終製品の売上高は莫大ですが、TV宣伝費や販促費に相当なお金をかけています。

 それを個別商品ごとに見ていくと、最終利益率はかなり原料部門と拮抗してきます。