AIチップ市場で成長狙うグーグル
エヌビディア一強に割って入り、シェア獲得を目指すのが米グーグルだ。同社は独自の演算チップTPUの開発体制を強化している。
グーグルは7世代にわたるTPUを開発してきた。TPUは、検索アルゴリズムの機能向上や自社スマホの「ピクセル」「Gemini」(ジェミニ)などのAIモデル開発に使った。つまり主に自社使用がメインで、設計は米ブロードコム、製造はTSMCと協業している。
本年4月には、第7世代のAIサーバー「アイアンウッド」を発表し、外部への販売も本格化している。アイアンウッドの設計思想は、エヌビディアのGPUとは異なる。
エヌビディアは、ゲームの画質向上を目指しGPUを設計・開発した。ソフトウエアの「CUDA」(クーダ)と組み合わせて使うと、AIの学習、推論など汎用的な使用が可能。ただ、マルチタスク型である分、消費する電力量に課題が残る。
アイアンウッドは、エヌビディアの最新AIサーバー「GB200 NVL72」の約100倍のチップを搭載する。グーグルは計算能力を高め、AIの学習よりも推論に特化したチップを開発した。機能を絞った分、エヌビディアのGPUの10分の1程度のコストで済むとの指摘もある。
TPUを採用する企業は、メタやアンソロピックだけではない。OpenAIの共同創業者イリヤ・サツキバー氏が設立した、セーフ・スーパーインテリジェンス、米セールスフォース、画像生成AIのミッドジャーニーなどもTPUを採用したようだ。
中国でも、新たなAIチップ実用化が加速している。11月下旬、半導体スタートアップ企業のCLテックが開発した汎用型のTPU、「刹那」(Chana)が明らかになった。CLテックを創業したのは、グーグルの第2~第4世代のTPU開発に従事した人物だ。
当該半導体は、エヌビディアのA100(20年発表)と比較すると、演算能力は1.5倍になり、消費電力量は30%低減、運用コストは42%低減したようだ。また、回路線幅12ナノメートル(ナノは10億分の1)の製造ラインで生産されたという。







