エヌビディアもファーウェイもソフトバンクも…世界のIT大手がのめり込む「AIの次」の事業とはPhoto:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

日経平均株価が最高値を更新し初の5万2000円台に突入した。米IT大手アップルの決算が好調で、ハイテク企業への注目が背景にある。世界のIT大手が今、開発を競うのが「ロボット」だ。AI分野は、推論モデルから「フィジカルAI」開発にシフトし始めた。ヒト型ロボットの実装化は、私たちの労働や生活にどんな影響をもたらすのか。映画『ターミネーター』のように人類滅亡の危機はないのか。期待とリスクが交錯するロボット開発競争の行方とは。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

ロボット開発競争に米中日の大手企業が参戦

 現在、米中のIT大手有力企業が成長機会を見いだしているのが、「ロボット」だ。中国ではアリババ、ファーウェイといった大手企業からユニツリー・ロボティクス、UBテック、アジテック、アジボットなどの新興勢までヒト型ロボットなどの開発を競っている。

 米国ではエヌビディア、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、アップル、テスラが急速にロボット開発に取り組み始めた。

 わが国では10月8日、ソフトバンクグループ(SBG)がスイス重電大手ABBのロボット事業買収を発表した。安川電機と富士通は、エヌビディアと提携してもいる。日本は工場の省人化、自動化に必要な「数値制御装置」、それを応用した精密工作機械に強みがあるため、ロボット産業の進展は有利に働くだろう。

 その一方、ロボット実用化には懸念もある。イスラエル軍のガザ攻撃では、爆弾を搭載したロボット型の兵器が投入されたと報じられた。また、生産現場や飲食などの業務がロボットに置き換えられ、単純労働者が駆逐される不安もある。

 ロボット実用化には、倫理面を含め、国際的な規格の策定が欠かせない。米中対立は激化しているし、そもそも米国が多国間との政策連携から遠ざかっている。そうした状況下で、わが国はロボット開発競争にどのように参戦していけばいいのか。