画像はイメージです。 Photo:PIXTA
北海道の観光牧場に、世界中の富豪が集まる2日間がある。競争馬のセリ市「セレクトセール」では、馬産地・浦河町の歳入を軽く超える金がわずか2日で動き、数億円の取引が次々と成立していく。会場には高級外車やジュエリーが並び、普段の観光牧場とはまるで別世界だ。華やかなレースの裏で繰り広げられる、セリの現場に足を運んだ。※本稿は、ノンフィクション作家の河野 啓『HHH インド人、ジャパンの競馬をHelpします!』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。
サラブレッドの血を交配していく
競馬界の常識に戸惑い
「いい血を残し」「悪い血は淘汰する」「これはブラッド(血の)スポーツ」……。
文字にすると少々おどろおどろしいが、馬産地ではそんな言葉が日常的に飛び交っている。言葉の主が、親しみやすかったり、考え深い人だったりするから、私はますます戸惑いを覚える。
競走馬についての知識がなかった私は、すべてのサラブレッドがその血統を遡っていけば3頭の馬に行き着くと知って驚いた。
「より速い馬」を求めて、人類は17世紀ごろから交配を繰り返してきた。「あの馬の産駒が、父が果たせなかったGⅠを制した」などの物語に胸を熱くするのはわかる。また、競馬が名馬、名騎手、名伯楽(才能を引き出す人。調教師)の努力や知性や思いが渾然一体となった一大ロマンであることも推察できる。
しかし「良血馬」などという言葉を目にすると、私はどうも引っかかりを覚えてしまう。これは優生思想、まさにカーストではないか?
毎年7月、世界最大規模の競走馬のセリ市が、苫小牧市にあるノーザンホースパークで開催される。「セレクトセール」だ。







