青森テレビの小山内悟社長は従業員に対し「小学生でも分かるでしょう」「馬鹿野郎」などの不適切な言動やパワハラを行っていたことが原因で、10月20日付で社長職を辞任。東海テレビの小島浩資会長は、社長だった2022年に複数の派遣社員の女性に対してセクハラをした疑いがあると週刊誌に報じられ、12月23日付で辞任を発表した。

 2025年の流行語大賞のトップテンには「オールドメディア」が選出されたが、いまだハラスメントが常態化しているテレビ業界はまさに“オールド”と言わざるを得ないだろう。

 芸能人による失言も今年は多かった。特に9月、「チョコレートプラネット」の松尾駿がYouTubeの動画内で「素人はSNSをやるな」と発言し、SNSで大きく炎上した。

 心理学にゲインロス効果というものがある。一貫した評価よりも、途中で評価が逆転するほうが、与える影響が大きくなるという心理現象のことだ。

 もともとチョコプラは老若男女に愛されるコンビだが、天才肌の長田庄平に比べ、愛嬌があり愛妻家の一面を持つ松尾はより好感度が高かった。そんな松尾がまるで視聴者を下に見るような発言をしたのだから「良い人だと思っていたのに」と怒りや失望が倍増してしまった。つまりゲインロス効果のロスが働いてしまった。

 一方、松尾とは真逆なのが霜降り明星の粗品だ。12月22日に更新されたYouTubeで「M-1グランプリ2025」を総評した中で「インターネットの粗品に憧れているお笑いファンたちは、1回黙ろうか? 素人は黙っとけ」と発言をしたものの、松尾のように炎上する様子はない。

 粗品に関してはメディアやYouTubeチャンネルで常日頃から一般人に対しても厳しい言葉を投げかけている。または話題の出来事を賛否両論で切る企画「一人賛否」の人気で、厳しい言葉自体がエンターテインメントの一種として捉えられる土台ができている。視聴者には粗品が辛口というキャラクターとして認知されていることで、発言が炎上まで発展することがほぼない。