質に差がありすぎる授業も……

西岡氏 僕が気になるのは、“探究活動”です。自称進学校って『探究が充実しています』と言う学校が増えましたよね。でも推薦入試の現場から見ると、あれってどうですか?

孫氏 正直に言うと、“質に差がありすぎる”です。自称進学校の探究は、形式としてはやっているけど、内容が浅いことが多い。テーマが薄い、調査が浅い、振り返りがない、発表がイベントで終わっている。だから、推薦入試で武器になるレベルまで行かないケースが結構あります。

西岡氏 逆に、超進学校のほうが探究のレベルが高い、というのも皮肉ですよね。学力偏重に見える学校ほど、実は探究もガチだったりする。

孫氏 ありますね。結局、推薦入試で評価される探究って、“学校が用意した探究っぽい活動”ではなくて、本人が自走して積み上げたものなんです。だから親としても、『学校が探究やってるらしいから安心』ではなく、『この子は自主的に深掘れているか』を見てあげないといけない

学力が不安な場合はどうしたらいいのか?

西岡氏 ここまで聞くと、親としては迷いますよね。『取り出しコースに入らないと学力が不安』『でも入ると推薦の評定が不利かもしれない』。どう考えればいいんでしょう。

孫氏 僕が親御さんに伝えたいのは、大学は基本的に“高校のコース名”を評価しない、ということです。国立コースにいたかどうかより、最終的にその子が何を学び、何を語れ、評定がどうか、の方が重要です。だから、親は“学校の枠組み”を過信しすぎないほうがいい。

西岡氏 なるほど。じゃあ今、高2以下の家庭にとっては、コース変更できるなら今が最後のタイミングでもある、と。

孫氏 そうですね。高3になると現実的に動かしづらいので、高2以下ならなおさら、“このコースの評定がどう付くのか”を早めに確認したほうがいい。学校によっては、同じ80点でもクラスによって評定が変わるような運用がある場合もあります。これは学校の裁量なので、一般論で断定はできませんが、だからこそ確認が必要なんです。

西岡氏 確認って、具体的には何を聞けばいいですか?

孫氏 進路指導の先生に、ストレートに聞くのが一番です。『このコースに入ると評定は取りにくくなりますか?』『推薦を視野に入れた場合の注意点はありますか?』と。あと可能なら、『過去の推薦出願者はどのくらい評定を取れていますか』も聞きたい。学校側が渋ることもありますが、親がそこを曖昧にしたまま決めると、後で取り返しがつかなくなります

西岡氏 なるほど。そういうコースに入るときには、推薦も視野に入れる家庭は『評定』『探究の質』『実績の透明性』を冷静に見たほうがいい、ということですね。

西岡壱誠(にしおか・いっせい)
中高では学力が芳しくなく、2浪という厳しい状況の中で、自分自身の学びを徹底的に見直し、独自の勉強法を確立。これにより偏差値35から偏差値70まで成績を伸ばし、東京大学に合格を果たす。この経験をもとに、学びに悩む学生たちに希望を届ける活動を展開中。『東大読書』(2018年、東洋経済新報社)など、勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書はベストセラーとなり、多くの受験生や教育者から支持を集めている。

(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』に関連する対談記事です)