4 認知症の心配

 家主側がいちばん大変なのは、これでしょう。日本の制度は、様々な手続きを家族もしくは権限を持った代理人でしか対応できないようになっています。また個人情報保護法の観点から、備えていなければ福祉や行政と家主は入居者の個人情報を共有できません。

 入居者が認知症になって、共用部分で粗相をする、幻覚から叫ぶ、泥棒が入ったと騒ぐ、失火等々があったとしても、本人が自発的に適切な施設に入所するのに同意してくれなければ、対応は家主側に求められます。認知症の親の世話をするのでも大変なのに、赤の他人の家主は入居者の対応なんて、とてもじゃないけれどできません。家族にしか権限がないものを、その資格すらない家主や管理会社は背負うことになるのです。

 ざっと考えただけでも、「高齢者に賃貸物件を貸さない理由」はこれだけあります。

 貸さない家主を責められません。国はあくまでも「呼べばすぐに飛んできてくれる家族がいるもの」前提で、制度を作っています。

高齢者が賃貸物件を借りるには具体的にどうすればいい?

 現場との乖離に、家主側も背負いきれないのは仕方がないことです。

 でも理由が分かったので、これらの問題をクリアすれば貸してもらえるはずです。頼れる親族がいる場合には、具体的にこれらの問題が生じないことを家主側にアピールしましょう。一方、親族を頼れない、頼りたくない人たちは、このような対策を取りましょう。

1 見守りサービスを利用しましょう。

 鍵を渡して異常時に入室してくれるサービスも普及してきました。第三者機関がアラートを受けてくれる商品もあります。見守りを利用することで、事故物件を避ける確率はグッと高くなります。また賃借人側は、すぐに気がついてもらえるような人間関係を築いていく努力も必要です。

2 死後事務委任契約を利用しましょう。

 自分が亡くなった際に(1)賃貸借契約の解約と(2)残置物の処分を依頼しておけば、家主側に迷惑をかけることはありません。

3 どのようなことになったとしても、払える金額の家賃帯に転居しておきましょう。

 また築年数も重要です。安い物件は、古い物件が多くなります。自身と建物の寿命を考え、平均寿命プラスアルファ生きたとしても建物は大丈夫、そのような物件を選ぶ必要があります。

4 任意後見契約をしておきましょう。

 これは認知症等で判断能力が低下した場合に、予め自分が決めていた代理人が、あなたの代わりに様々な対応をしてくれます。認知症で賃貸物件に住み続けることが厳しいとなれば、任意後見人が事前にあなたが希望していたような施設に入所させてくれます。

 こうやって貸せない理由を潰しておけば、貸さない家主はいません。

 しっかりと備えた上で、部屋探しの際には、必ずこのポイントは主張しましょう。