では、どう出していけばいいのか。

 これこそが、私がお伝えしたい「感情の作法」です。

不機嫌なままでいることは
個人のキャリアにも影響する

 データ上だけでなく、本当に「感情」が評価や出世に響いてしまった例があります。

 私は企業の受付という仕事を通して、120万人以上のビジネスパーソンと接してきました。

 受付には、さまざまな人がいらっしゃいます。

 役員、部課長などの役職者や入社したばかりの新入社員など自社の人々はもちろん、商談や採用面接のために来社される他社の方々もいらっしゃいます。

 受付とは、多くの人が「素」になる場所です。

 笑顔でお客様を送り出した瞬間、豹変する人。

 受付には名刺を投げ出すようにして「取り次いでよ」という態度なのに、やってきた上司や重役にはひたすら低姿勢な人。

 どなたにも同じ距離で接する受付という仕事を通して、どういう人がどう評価されていくのかを客観的に見ることができました。

 そして9年前に起業してからは、経営者として、信頼を集めるのはどのようなタイプの人か、どんな上司のもとでは人が去っていくのかを見てきました。

 その結果わかったことは「不機嫌は『見えないキャリアの天井』を作る」ということです。

 こんなことがありました。

 ある会社で、社内でも主力とされる事業部の部長がいました。誰もが認める実力のある人で、役員への昇進も噂されていました。

 でもその方は、感情的にふるまうことで有名だったのです。

 お客様をお見送りしてから受付の前を通って会議室に戻るあいだだけでも、強い口調で部下を叱責(しっせき)していることが多くありました。

 会議室や執務スペースに戻ってからならまだしも、会社のエントランスで、その場にいるほかの社員やお待ちになっている来客から丸見えであっても、自分の感情のままにふるまっていました。

 その方はずっと仕事の成果を出されていたはずですが、いつしか出世コースから外れてしまいました。

 仕事の成果的には昇進してもおかしくないのに、なぜ?

 その答えは「感情の作法」にありました。