何かを始めてそれがうまくいかないとき、量をこなしてコツを覚えながら質を高めていく経験をしたことのある人は少なくないはずである。会社に入って仕事を始めた人、かつそれの質を高めたい意欲を持つ人であれば、まずはいろいろ経験してみよう、勘所をつかむまでに必要なボリュームをこなしてみようと考えるのは自然な流れだ。
ただ、そのアプローチが画一的な理由で禁止されているとなると、モチベーションの高さの分だけ感じる失望も大きくなるだろう。では、その失望はどこへ向かうか?より成長できる場所を求めて動き出すスイッチとして機能するのが、考えられる帰結の1つである。
働き方改革が引き起こす
「ゆるい職場」問題
若手ビジネスパーソンの成長とキャリアにまつわる問題は、産業界全体で向き合うべきテーマへとその射程を広げつつある。
「ここにいると社外で通用しなくなる」という不安とともに転職し、新たな職場で「3倍のスピードで成長できる」と充実感を語る20代後半の若者。彼のキャリアチェンジの背景には、「年功序列を基にした職場の『緩やかな時間』」があるという。
厚生労働省によると、2020年に入社した大企業の大卒社員は3年以内に4人に1人が辞めた。10年前の5人に1人よりも多い。企業は残業時間の削減など職場環境の改善で引き留めようとするが響かない。
(「成長も『タイパ』、若手の新興転職18倍 居心地は二の次」「日本経済新聞」2023年12月4日)
(「成長も『タイパ』、若手の新興転職18倍 居心地は二の次」「日本経済新聞」2023年12月4日)
ホワイト化は歓迎すべき流れだが、行き過ぎには罠もある。労働環境は厳しくないが、やりがいや成長を感じられない職場を示す「ゆるブラック」と言われかねない。
(「『ゆるブラック』浮上、働き方改革の罠 成長求める若手」「日本経済新聞」2023年10月15日)
(「『ゆるブラック』浮上、働き方改革の罠 成長求める若手」「日本経済新聞」2023年10月15日)
成長と転職について考える際に、この「ゆるブラック」という言葉で示される問題は重要な意味を持つ。働き方改革の影響で、労働時間は社会全体でおおむね短くなり、法令順守のもとで従業員に配慮する文化がかなり浸透した。今度はそれが「成長を求める若者」に物足りなさを与えているのだという。







