「脱・中国」の観光施策を成功させる3つの視点とは?もう爆買いには頼らない!写真はイメージです Photo:PIXTA

「ウェルビーイング」は、1948年の世界保険機関(WHO)設立の際に考案された憲章で、初めて使われた言葉だ。「幸福で肉体的、精神的、社会的全てにおいて満たされた状態」をいう。新しい幸せの形として用いられ、最近さまざまな場面で耳にすることが多くなった。『ウェルビーイングの新潮流』第26回では、日本の観光業界が直面している現状と、今後向かうべき方向について考える。

中国インバウンドに頼ってきた観光業界
「依存構造」について再考が必要

 今年の春節(旧正月)は2月17日です。旧暦の元日にあたるこの日は、中国や中華圏で新年の始まりとして祝われます。しかし、日中関係の悪化や緊迫化が続く中、日本の観光業界では、かつて毎年旧正月を中心に発生していた「中国インバウンド特需」は、少なくとも当面は期待できないという一つの現実を冷静に受け止める必要があります。

 政治・外交の問題が観光需要に直結することは過去にもありましたが、今回は一過性の調整局面ではなく、「数年単位での構造変化」として捉えるべきフェーズに入っているという見方が大勢を占めています。

 さらに重要なのは、仮に日中関係が短期的に改善したとしても、中国からの大量の観光客を再び全面的に受け入れることが、日本社会にとって本当に望ましいのかという問いです。各地で指摘されてきたマナー問題、地域住民との摩擦、公共交通や生活インフラへの過負荷といったオーバーツーリズムの弊害は、「観光収入」という単一指標では、もはや正当化できない段階に入っています。

 ここで重要なのは、「脱・中国インバウンド」という議論を、感情論や排外的な文脈で語らないことです。どこの国がという問題ではなく、特定市場への過度な依存構造そのものについての再考が必要だということです。

 観光立国を目指してきた日本は、結果として、中国という巨大市場に最適化された価格設計、商品設計、都市動線を作り上げてきました。しかし、その成功体験が、いま逆に脆弱性として露呈しています。