
生命保険業界では、最大手である日本生命保険の出向者が三菱UFJ銀行の内部情報を持ち出したことが発覚し、問題となっている。監督指針の改正を踏まえ、大手生保は代理店への出向を取りやめる方針を相次いで表明。これは、代理店の“自立”が待ったなしの局面に入ったことを意味する。連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、生命保険協会の会長を務める住友生命保険の高田幸徳社長に、代理店との関係や業界が抱える課題について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 藤田章夫、構成/ダイヤモンド編集部 高野 豪)
代理店チャネルはターンニングポイント
原点に立ち返り、顧客の最善利益を追求
――代理店への出向者による情報持ち出しなど、生命保険協会の会長就任時から対応すべき諸問題が出てきています。
代理店チャネルは、一つのターニングポイントを迎えたと考えています。生命保険各社では、乗り合い代理店の棚に商品を置いてもらう意味での競争が非常に激しい。選んでもらうための取り組みの中で、代理店の先にいるお客さまに目が届きにくかった点が実態としてはあったのかもしれません。
改めて原点に立ち返り、お客さまの最善利益の追求のため、保険会社や代理店があるべき姿を考え続け、態勢整備や説明責任、透明性を高めていかなければなりません。
生保協は監督指針をベースに便宜供与や出向に関するガイドラインを策定しました。生保各社はこれを参考に、お客さまの最善利益を追求し続けることがより求められます。「今で大丈夫」ということではありません。
今後、保険業法改正に伴う比較推奨販売の詳細も出てきます。生保協としては各社の足並みがそろうよう、しっかりやっていきたいと考えています。
――出向をやめない生保も一部あるようです。
出向者を引き上げた後、生保各社と代理店との関係性はどうなるのか。次ページでは、高田社長が「代理店の自立をどういう風に支えていくかが重要」と話す真意と銀行窓販にもたらす影響などについて聞いた。金利上昇により保険販売の動向はどうなるとみているのか。目前に迫る新たな健全性規制への対応状況は。







