世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカルガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。

【食は地方にあり!】いま富山県が、世界の富裕層に注目される3つの理由Photo: Adobe Stock

魅力的なものが複数集まり、地域としての個性を発揮

 ここまでは、ひとりのカリスマ的な人物にスポットを当てて、ガストロノミーツーリズムの事例を紹介してきました。それに対してこれから紹介するのは、魅力的なものが複数集まることで、強い個性を発揮している事例です。

 そういう点で今、非常に注目されているのが、富山県です。本書では、海外からの富裕層がたった400人の過疎の村のレストランを訪れる例として富山県の「レヴォ」を紹介しましたが、富山はレヴォだけではないのです。

富山が「食の聖地」として注目されるきっかけとなった3つの場所

 1つ目は、富山全域
 新田八朗知事により「寿司といえば、富山」プロジェクトが発動され、寿司好きの海外富裕層が大いに注目しています。

 また、NYタイムズが発表した「2025年に行くべき世界の52か所」のひとつに、富山市が選ばれました。これは食に限った話ではなく、おわら風の盆やガラス美術館など、観光全体の要素が対象となっているのですが、地方へ行きたい海外の富裕層の背中をぐっと押しました。

 さらに、「北陸すしアカデミー」が2025年度中に、富山に開校する予定です。東京すしアカデミーは最短2か月間で寿司職人を育てる集中特訓コースが有名なので、こちらも短期間で技術を習得したい外国人の入校が見込まれています。おそらく彼らが自国で寿司職人となった暁には「寿司といえば富山だよ」と説明するでしょう。そうすると、世界中で「寿司といえば、富山」という認識が広まっていくため、さらなる盛り上がりが期待されています。

 2つ目は、「日本のベニス」と呼ばれる美しい地域、射水(いみず)市の内川地区です。
 ここには、すでに隠れた町寿司の名店があるのですが、宿泊施設を完備して、外国人富裕層を受け入れる体制も万全な大注目店が2026年に開店予定です。

 3つ目は、富山市の岩瀬地区です。
 ここだけでミシュランガイド北陸に掲載されている店が8軒もある、日本のサンセバスチャンのようなエリアです。

 この後、ひとつずつ、詳しく紹介していきましょう。

※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。