チームのメンバーや部下とのコミュニケーションを円滑にするにはどうしたらいいのか。2万人をみてきたコンサルタント・勅使川原真衣氏は、その方策を著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』で示す。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛する同書から、内容を抜粋・再構成し特別公開する。
「とりあえず雑談しよう」で空回り
会議の空気をほぐすためにまず雑談をしよう、という説はよく聞きます。
ですが、それは実はとても難易度の高いことでもあります。
雑談はそもそも向き不向きがあり、その場を和ませるような「みんながおもしろいと思える話」を出せるかというのは、よほど「観察」に長けている人か、メンバー全員と盤石な関係性があることが大前提なのです。
そうではないのに周りが笑ってくれているというのは経験上、ほぼほぼ忖度でしょう。
メンバーの解釈のクセの違いや持ち味の違いに自覚的でないまま雑談をしても、一部の人だけの内輪ネタになるか、
「この上司はなぜみんなの貴重な時間を無駄に使うのだろう?」
と思われてしまうおそれ大です。
「この国ではこんなに雑談をしています」「だから日本でも取り入れましょう」という提言もしばしば見かけますがそもそも、なぜ日本では雑談が生まれにくいのか、ということを冷静に分析しなければいけないと思います。
それはやっぱり、同調圧力の強い組織が多く、普段からみんなちょっとの違和感を持っていて、それを都度解消することなく積み重ねているからではないでしょうか。
「YES/NO質問」をやめてみる
違和感が積み重なった組織にとっては、何でもかんでもこれで解決できる(今の話の場合は「雑談」ですね)ではなく、その場面場面でタイムリーに疑問点を表明するほうが、よっぽど効果的で、手っ取り早いです。
だからこそ、曖昧な雑談ではなく、一問一答形式のような「YES/NO質問」ではなく「考えを引き出す質問」を重ねていくことが大切です。
たとえば、
「まだちょっとうまく言えないんだけど実は前からしっくりこないことが……」
「こっちを立たせるとあっちが立たず、のようなことが最近特に発生していて。お知恵を貸してください」
など、葛藤や困難事例こそ会議で話すのです。
なぜか。葛藤は、仕事はもとより生きるうえでなくなりません。多様な人間同士の複雑なタイミングが重なり合ってこそ生まれるもの。
ならばひとりであーでもない、こーでもないとやるより、これこそいろんな人の持ち味から事象を解きほぐすべき事態なのです。
頭の中の解釈は人それぞれ違う。だからこそ、お互いに表明して交わしていくことが、会議という場で特に大切なことです。
ちなみに私は、基本的に雑談はしない派。会社員時代、会社の人と朝エレベーターで会うのが嫌すぎて、話さないために始発電車で行っていたくらいでした。
それでも回るのが、仕事ってなものでしょう。

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太