「問いかけ」ひとつで相手は
自身の価値観をも内省する
このメカニズムは、「問いかけ」の奥深さについて理解するうえで、とても重要です。もう少し別の例も交えて、その原理を探っていきましょう。
たとえば「これまでの人生で、最も『豊か』に感じられた食事はなんですか?」と質問されたら、いかがでしょうか。ずいぶん壮大な質問ですから、すぐには答えられないかもしれませんが、せっかくの機会ですので、考えてみてください。
これまでの質問のように、単に「記憶」「記録」「知識」「情報」を手がかりにするだけでは、答えられそうにありません。
そもそも、自分にとって、「豊かな食事」とは、どんなものだろうか。自分の価値観について深く内省しなければ、納得のいく結論は出せないでしょう。
もしかすると、すっかり悩み込んでしまったかもしれません。そんなあなたに、「助け舟」となる追加の質問を投げかけましょう。
「無理に一番を決めなくてもかまいません。いま頭に浮かんでいる、これまで『豊か』に感じられた食事の思い出を、いくつか教えてもらえませんか?」
このように聞かれたら、あなたは少し気が楽になって、ちょうど頭に浮かんでいた2つか3つの候補について、語ることができるかもしれません。
今の時点ではまだ納得のいく結論には辿り着けていないかもしれません。それでも、あなたから語られるいくつかの思い出は、あなたのこだわりが詰まったエピソードになっているはずです。
こうして、この質問はあなたが「価値観を内省する」機会をつくり出すことができました。
問いかけはチームの未知数を
照らす「ライト」である
以上のように、同じ「食事」に関連する問いかけひとつとっても、質問の仕方を変えることで、相手の「記憶」を喚起したり、「知識」を引き出したり、「価値観」を表出させたりなど、さまざまな反応を引き起こすことができる。これが、問いかけの基本的なメカニズムです。
同書より転載







