もうひとつ、問いかけが持っている重要な特徴として、覚えておかなければならないものがあります。それは、投げかけられた質問は、相手の何かしらの反応を引き起こす過程でさまざまな「感情」を刺激する、ということです。
もしあなたが、食に対して一定のこだわりを持っていたのであれば、前述した「これまでの人生で、最も『豊か』に感じられた食事はなんですか?」という質問を考える時間は、前向きで楽しい時間であったはずです。
チームのポテンシャルを活かす
「良い問いかけ」を会得する
むしろ、こだわりが強いあまりに「一番が決められない」と、悩み込んでしまったのかもしれません。
他方で、もしさほど食に関心がなかったのであれば、「『豊か』な食事と言われてもなぁ」と、モチベーションがあがらなかったかもしれません。最初に頭に浮かんだ食事のエピソードを適当に話して、質問をやりすごしたくなったかもしれません。
逆に、もし質問が「これまで最悪だった食事、ワースト30はなんですか?」だったとすれば、あなたの食への関心の強さにかかわらず、「なぜそんなことをわざわざ考えなくてはならないのか」と、文字通り「最悪な気持ち」になっていたかもしれません。
『新 問いかけの作法』(安斎勇樹、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
このように、「質問」は、相手の気持ちを前向きにも後ろ向きにもさせます。
終わったプロジェクトをチームメンバーで振り返るときにも、「特によくできた、こだわりのポイントはなんですか?」とポジティブな面を問いかけるのと、「なぜこんなやり方でやってしまったのですか?反省点はなんですか?」とネガティブな面を問いかけるのとでは、相手の「反応」はまったく別のものになるはずです。
チームのポテンシャルを活かす「良い問いかけ」とは、この反応のメカニズムを使って、メンバーの「こだわり」をうまく引き出していくことに他なりません。
うまくいかなかったことを反省する機会はもちろん必要ですが、相手が前向きな気持ちになれる質問を、意識的に投げかけたいものです。







