日本人、テレビ大好きすぎる説

F:まあ、でも工場出荷の段階でチューナーを積むだけだから、それほどの作業ではありませんしね。

ケビン:いえいえ。テレビを見るのはそんなに簡単な話ではありません。チューナーを積むだけでは済まないからです。テレビにはアンテナが必要です。アンテナの取り回しは意外と面倒で、BMWはリアウィンドウの部分に設置しています。当然テレビなしのクルマと配線の取り回しが変わってくる。ハーネス類をすべて日本専用に起こさなければならなくなります。

 X3の場合、リアガラスは普通のガラスと濃色ガラスの2種類があります。日本向け専用のアンテナありと通常のアンテナなしのガラス。そこに通常色と濃色のガラス。日本のために4種類のガラスバリエーションを用意することになる。手間とコストが膨れ上がります。

F:なるほど。日本がテレビ搭載をやめます、とさえ言ってくれれば……。

ケビン:ガラスは濃淡の2種類だけを用意すれば良くなります。複雑な配線の引き回しも不要になる。かなりの負担軽減につながります。

F:そりゃ、本国はやめてくれと言いますよね。しかしテレビねぇ……クルマの中では見ないけどな。どのみち走行中は見られないんだし。

ケビン:そうなんですけどね。駐車中にくつろいでいるときとか、運転していないわずかな時間にご覧になるのだと思います。

ヨーロッパでもアメリカでも、AMラジオは必須ではない

ケビン:あとはAMラジオ。これも必要です。

F:あれ、でも今はニッポン放送とか文化放送とか、AMの放送局もすべてFMで聞けるようになりましたよね。

前:そうなんですが、FMはトンネルに入ると聞こえませんよね。多くのトンネルは中継アンテナでFMの再放送をしていますが、その設備のないトンネルがまだまだ多い。しかもハイウェイラジオはAMだけという地域が多い。緊急時のことを考えると、どうしてもAMは必要になるわけで。

F:AMラジオ。これも日本だけの特殊事情か……。

※ヨーロッパではすでにAMラジオは事実上の役目を終え、FMとデジタルラジオ(DAB)が主流である。アメリカでAMは残っているものの、こちらも縮小傾向にある。特にEVでは“外すべき装備”と見なされつつあるようだ。