想定外のよい成果が出ることは、組織にとってもプラスだと捉えられることが多いです。けれども、リーダーシップの定義から見ると、「想定外の成功は、失敗」と考えられます。その理由とは何なのでしょうか。第5回は、リーダーシップの成功と失敗について、神戸大学大学院で経営組織論、組織行動論を専門とする鈴木竜太氏が、経営学の知見をベースに解説します。本記事は、書籍『リーダーシップの科学』の第1章を一部抜粋・編集したものです。
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リーダーシップの成功と失敗
リーダーシップのプロセス(図)で示した一連の流れが、ここで「リーダーシップ」と呼ぶものである。では、このリーダーシップがうまく振るえたとは、どのような状態を指すのだろう。
出所:鈴木竜太『リーダーシップの科学』(ダイヤモンド社、2025年)p.30を引用
まず、リーダーにとっての成功・失敗とは、共有された目標の達成・未達成を指すのが自然である。しかし、ここにはリーダーの働きかけにもかかわらず、フォロワーの努力が促進されないといった「プロセスの失敗」と、フォロワーが努力したにもかかわらず、共有された目標が達成されないという「結果そのものの失敗」の2つが含まれている。
リーダーシップの基本構造に基づけば、前者はリーダー→フォロワーの行動のパスが働いていなかった例であり、後者はフォロワーの行動→成果のパスが働いていなかった例である。
これらの2つの失敗は両立しないことが往々にしてある。例えば、成果の成否が明確に示されるスポーツなどの場合、監督やコーチの意をまったく選手が汲んでいなくとも、選手たちの力量で試合やコンテストに勝つことがあるし、監督やコーチの意に沿ってフォロワーが行動・活動したにもかかわらず、目標が十分に達成できないこともある。これはビジネスでも同様だろう。
一方、リーダーシップ論のいうリーダーシップの成功とは、フォロワーの行動→成果のパスがつながっていることを前提にして、リーダー→フォロワーの行動のパスがつながったことを指す。つまり失敗とはリーダーとしての働きかけをしていても予定していたフォロワーの行動につながらなかったことを指す。「笛吹けど踊らず」という状態こそが、リーダーシップの失敗なのである。
求める成果を想定通りに出すことが成功で、たとえ結果が組織にとってプラスであっても、それが想定外のものであれば失敗だと考えるのだ。
出所:鈴木竜太『リーダーシップの科学』(ダイヤモンド社、2025年)p.38を引用
(本記事は、書籍『リーダーシップの科学』の第1章を一部抜粋・編集したものです)






