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東レが製造販売する自動車・電子部品向けの主力製品「PBT樹脂」の原料に、製造段階で異物が混入していたことが発覚した。東レの内部調査により、異物の正体は工場のずさんな管理により破損した製造設備で、少なくとも2024年8月から25年3月ごろまで異物混入が継続していた可能性がある。同社が「懸念品」と分類した製品は約1万トンに及び、その大半が既に出荷されていた。だが東レは問題を矮小化し、多くの納入先にこの事実を報告していない。特集『東レの背信 LEVEL4』の#1で詳報する。(フリーライター 村上力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
1万トンの樹脂にゴム片が混入か
「懸念品」の存在を顧客に秘匿疑い
事の発端は2025年3月、東レの樹脂事業部が販売するPBT樹脂の生産拠点であるタイ工場で、原料のポリマーに0.5~3mmの異物が混入しているのが見つかったことだ。
高性能プラスチックであるPBT樹脂は、車載スイッチ、センサー、コネクターなどの電子部品の原料となる、同社機能化成品セグメントの主力製品だ。万が一異物が混入すれば、完成品の絶縁破壊や強度不足を招き、最悪の場合は車両火災やリコールに直結する。
内部調査により、混入したのは「エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)」というゴム片であることが判明した。発生源は、原料を合成するマレーシア工場の生産ラインだった。ライン上の「バタフライバルブ」に装着されたラバーが破損し、製品に混入したままタイや名古屋の工場へ出荷されていたのである。
25年3月の発覚を受けた調査で、実はタイ工場では24年10月の時点で一度、異物混入を把握していたことが分かった。このロットは24年8月にマレーシアで生産されたものだった。
つまり異物混入は、少なくとも24年8月から25年3月までの8カ月間にわたり、現場で「野放し」にされていたことになる。東レは25年4月時点で、この期間の生産総数1.9万トンのうち、約1万トンを「懸念品」と自ら分類した。
問題は、東レがこの膨大な懸念品の存在を、いまだ多くの納入先に秘匿し続けていることにある。
なぜ東レは懸念品を闇に葬ろうとするのか。ダイヤモンド編集部が独自入手した内部メールには、過去の不祥事を教訓にするどころか、「影響が大き過ぎる」と議論を封殺し、根拠なき「安全ロジック」を構築しようとする組織の姿が記録されていた。
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