センターピンを外している状態では、自分は一生懸命やっているつもりでも、肝心の成果はいっこうに上がらないのです。

 会議、商談、プレゼン、メールの返信、企画書の作成、後輩の指導、新事業のアイデア出し……。どんな仕事にも、必ずセンターピンが存在します。

 センターピンの見つけ方については後述しますが、ひとつ注意点があります。それは、「センターピン探し」に時間をかけすぎないことです。あくまで準備であって、それ自体が成果を生むわけではありません。

 センターピン探しは、短時間で済ませるようにしましょう。1分で見つけられたらベストです。

「センターピンは本当にこれだろうか?」「もっと重要なピンがあるのではないか?」

 そうやって「センターピン探し」という名の「完璧な準備」に時間をかけすぎ、行動に移せない。これでは、本末転倒です。

 より重要なのは、「今考えられる正解」に向けて、まず狙いを定めること。

「1分で見つける」というのは、そうした“悩み続ける”という罠を断ち切り、「分析フェーズ」から「実行フェーズ」へと自分自身を強制的に移行させるための、最強の「規律」でもあるのです。

センターピンを見誤り
失敗してしまうことも

 センターピンという考え方は、経営戦略の世界でしばしば語られます。参考として、いくつかの事例を紹介しましょう。

 あるメーカーの社長は、「広告を大量に打てば新商品は売れる」と考え、数百万円の予算を投じました。広告こそがセンターピンだと信じていたのです。

 ところが、広告のおかげで一時的に売れたものの、リピーターは増えることなく、結局、赤字のまま撤退することになってしまいました。お客さんからは、「届いた商品が期待はずれだった」という声が多く寄せられました。

 つまり、センターピンは広告ではなく、「商品のクオリティ」だったのです。

 もし、数百万円の予算を商品の改良に振り向けていたら、結果は違っていたかもしれません。どれだけ多額の予算をかけたとしても、センターピンを間違えればムダになってしまうのです。

 それは時間も同じです。どれほど時間を費やしたとしても、狙いがズレていたら意味のないものになってしまう。逆に、センターピンを正しく見抜けば、最短の時間、最小の予算で、最大の結果を出すことができるのです。