高橋は現在の常陸国出雲大社には斎家(寺の檀家に相当)が6000軒おり、年間収入は3億円あると書いている。
神社も寺と同じく宗教法人であるので、そのまま霊園開発などにも参入できる立場ではある。しかし、神社界は長くそうした終活業界に参入してこなかった流れがあるのだ。
宗教的行為がタブーな
神社の苦しい懐事情
神道とは周知のように、戦前は「国家神道」として、事実上の日本の国教の地位にあった。また戦前の日本政府は、神道とは天皇の権威を支え、国家儀礼を司るための「国家の祭祀」、すなわち“宗教”とは微妙に異なるものとして位置付けてもいた。
よって戦前の神社界では、神主たちが葬儀や祈祷などの“宗教的行為”を行うことについてタブー視する風潮があり、それが戦後も尾を引き、積極的に神葬祭を執り行おうとする神社は多くなかった。
もちろん戦前において、神社は国家神道体制のもとで、ある種の国家機関ともされていたから一定の補助などもあった。しかし、戦後はそういう扱いも消えたところに、神社として新たに葬儀を行っていくような流れも生まれなかった。
よって、戦後の神社は観光地になっている一部の大神社などを除き、現金収入を得る道があまりなく、経営としてはかなり苦しいところに追い込まれていく。
全国の神社、約8万を統括する神社界の教団組織・神社本庁が2015年に全国の所属神社の宮司に対して行った「神社・神職に関する実態調査」という統計がある。
このなかに「神社の最近の1年間の収入合計」を質問する項目があるのだが、その回答結果は以下のようなものだ。まず「1億円以上」と答えている神社は、全体の2.4%。1000万円以上あるとしている神社を合計しても16.2%。
そして「なし」が2.6%、「10万円未満」が8.99%で、「10万円以上100万円未満」と答えている神社が最も多く28.24%。300万円未満しカ年間収入がないとしている神社の合計は、61.09%に上る。
仏教寺院の場合、年間収入が1000万円以上のところは2割ほどあり、神社よりも多い。また曹洞宗寺院の場合、年間収入300万円以下は40.8%で、浄土真宗本願寺派の場合は44.9%になるので、これを見ても神社とは基本的に、寺よりも小規模で収入も低いと考えられる。







