『自分の歩みに変化や成長を感じられない日があっても、悲観する必要はない』
そんなメッセージが書かれているのが、400以上のチームを見て「人と協力するのがうまい人の特徴」をまとめた書籍『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社刊)だ。「チームの空気が変わった」「メンバーとの関係性が良くなった」と話題の一冊から、「自分の歩みに自信を持つために必要なこと」について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

「自分の歩みに変化や成長を感じられない日があっても、悲観する必要はない」そう気づかせてくれた“1通のメール”の内容とは?Photo: Adobe Stock

突然届いた、海外からの「1通のメール」

 ある日、1通のメッセージがSNS経由で私の手元に届いた。

 失礼ながら最初はスパムかと思ったが、調べるとそうではなく、ヴァンド・インターナショナルという団体からの連絡だとわかった。

 当時、イギリスとフランスに活動拠点を持っていたこの団体は、アフガニスタンの女性たちに向けた取り組みを行っていた。

 女性であるという理由だけで学ぶ権利を奪われ、外出することすら命の危険を伴う環境下で、彼女たちに自宅でのオンライン受講を通じてグラフィックデザインを教えていたのである。

 教育を受けてグラフィックデザイナーになった彼女たちは、家という比較的安全な場所でデザインの仕事ができるようになり、収入を得て生活できるようになっているという。

 そんな彼らから私に声がかかったのは、現地でデザインを学ぶ彼女たちへ、インスタグラム上でモチベーションを鼓舞するメッセージを届ける「Empower Afghan Girls」と名付けられたキャンペーンへの参加依頼だった。

過去の苦労が、遠く国境を越え、同じ空の下の誰かを救った

 彼らとメッセージを交わす中で、私自身の生い立ちについても対話を重ねた。

 日本の地方の田舎で育ったこと。母子家庭だったこと。

 日本における母子家庭の多くがそうであるように、私たち家族も経済的に厳しかったこと。

 大学進学を目指しながら、高校卒業後の3年間はフリーターとして物流倉庫で働き、入学資金を自分で稼いだこと。

 その後、日本で唯一夜間に門戸を開いていた美術大学に入学してデザインを学んだこと。

 そしてデザイナーとして働くようになってから必要性を感じ、社会人になってから経営学を学ぶために大学院へ入学したこと。そんな話を率直に伝えた。

 そうしたところ、彼らは私のそんな経歴に大変に共感してくれて、ぜひそのエピソードと共に、困難な状況下でデザインを学ぶ彼女たちを応援するメッセージを紹介させてほしいと言われた。

 そして、実際に私のメッセージが紹介されたあと、なんと現地の彼女たち本人から、感謝の気持ちが綴られた多くのメッセージを直接受け取った。

あなたの経験は、あなたがいる世界の「外」では価値になるかもしれない

 ここで伝えたいのは、あなたのどんな経験が、誰かを勇気づけたり、人の力になったりするかはわからないということだ。

 自分の歩みに変化や成長を感じられない日があっても、悲観する必要はない。

 あなたの過去が、どこかで誰かにきちんと価値あるものとして受けとめられる可能性がある。

 だからこそ越境してみてほしい。

 越境した先には、それまで見たことも体験したこともなかった風景が広がっている。

 短期的な成果獲得だけに身を粉にしていた際には見えなかった中長期的な変化の兆しを、確かな手応えとしてつかむことができる。

 そしてその変化が外の世界に発信されたとき、自分とはまったく異なる世界にいる誰かの目に触れ、その相手からの思いが、巡り巡ってあなたに届くことがある。

 紹介したエピソードのとおり、私自身、越境した先で出会った相手からリスペクトに富んだメッセージを受け取っている。

 自分の世界から一歩を踏み出すこと、越境することの可能性を、ぜひ信じてもらえたらと願っている。

(本稿は、『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』の内容から、著者の下總さんによるコラムを抜粋した記事です)