『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、受験のやる気がない高校生に対して親ができることについて解説します。

受験Photo: Adobe Stock

受験のやる気がない高校生

「うちの子、やる気がなくて……」

進路相談の場で、親御さんから最も多く聞く言葉の一つです。勉強せずに自分から動かなかったり、声をかけても反抗されたり、不安になるのは当然だと思います。

ただ、現場で多くの生徒を見てきて、私ははっきり感じています。やる気がない子は、実はほとんどいません。多くの場合、足りないのは「意欲」ではなく、考える場です

今の高校生を見ていると、本気で受験や進路に向き合えているのは、自分の体感で3割程度です。残りの7割は、言われたことはやる、言われなければやらない、何を目指しているのか自分でもよく分かっていない。こうした状態にあります。

これは、本人の怠慢ではありません。考える機会を持たないまま、ここまで来てしまったというケースがほとんどです。

指示と管理は、短期的には成果が出る

多くの家庭では、善意から「管理」が強くなります。「今日はこれをやりなさい」「次はこの塾、この資格」「今は迷っている暇はない」……。

確かに、この方法は短期的には効果があります。行動量は増えますし、抜け漏れも減ります。しかし、その代償として、子どもは「考えなくても物事が進む状態」に慣れてしまうのです。

やる気がないように見える子に共通する特徴があります。それは、「次、何をやればいい?」とすぐに聞いてくることです。

これは怠けているのではなく、判断を外注している状態です。目標を立てたり、優先順位を考えたりするといった思考プロセスを、親や塾がすべて肩代わりしてきた結果、本人の中で「考える回路」が使われなくなっているのです。

「このままで大丈夫なの?」と聞きたくなるが……

親御さんが焦ると、どうしても声かけが変わります。

「このままで大丈夫なの?」
「もっと危機感を持ちなさい」
「周りはもう動いているよ」

その言葉は、正論です。しかし、正論は思考を促すとは限りません。多くの場合、子どもは「怒られないために動く」か、「考えるのをやめる」か、どちらかになります。結果として、ますます自分で考えなくなっていく。これが、「やる気がないように見える」状態の正体です。

最初にもお話ししましたが、「どうしたらやる気を出させられますか?」と聞かれたときに、自分はこう答えます。
やる気は、出させるものではありません。考え始めた結果として、後からついてくるものです。

人は、自分で決めたことにはエネルギーを注ぎます。逆に、決めてもらったことには、最低限しか力を使いません。

自律的に考えてもらうために必要なこと

では、何をすればいいのか。答えはシンプルです。指示を減らし、問いを増やすことです。

「今、一番引っかかっていることは何?」
「それを解決するために、どんな選択肢がありそう?」
「もし失敗するとしたら、何が怖い?」

すぐに答えが出なくても構いません。大切なのは、「考える時間が許されている」と子どもが感じることです。

不思議なことに、考える場をきちんと用意すると、多くの子は勝手に動き始めます。親や指導者にとって、一番難しいのは、「動かしたい衝動」を我慢することだと思います。

しかし、子どもがやる気を出していないように見えるときこそ、実は自分で考える前段階にいることが多いのです。考える時間を奪わないことが、長期的には一番の近道になります。

(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)