人生の選択は自分でできるようになったけれど、社会の仕組みを望むようには変えられない。望む方向に変わるだろうという期待も持てない。将来に対する諦めに似た気持ちが低出生率の底流にあると感じます。
「きっと良くなる」と思える社会にしないと、家族を作ろうとする意欲は高まっていかないのではないでしょうか。
これから人生の選択をする若者が希望を持てるようになるには、社会の仕組みを決める権限を彼らに委ねる必要があると思います。最近、話題になっている0歳児からの投票権に私は賛成です(注1)。
社会問題の解決を軸に
個人の選択を誘導するのは困難
経済的な規模を維持するためとか、社会の持続性を高めるために「結婚」や「出生」に関する選択を誘導するようなことをしても社会は安定しないと思います。「誘導すること」は一種の力で、力による個人のコントロールは不満を蓄積させていきます。人間は個人として少しでも豊かになれるよう精一杯生きているのだ、と思います。
この本性に基づいて「結婚しない」「子どもを持たない」ことを積極的に選ぶのなら、その選択は十分に尊重されなければなりません。集団の論理で人生の選択の見直しを迫っても持続性はありません。
「結婚しない」「子どもを持たない」選択は、社会を支える子どもを養育しないので、利己的に見えるかもしれません。しかし、子どもを社会全体で育てる制度を整えたならば、結婚しないことを含めた「持たない」選択は利他行動になります。
子どもは社会の担い手です。子どもがいなければ社会は続きません。今は、自分の力で幸福に生活していると思っていたとしても、老いていけば社会に支えられていることを実感するでしょう。社会が続いていなければ、サポートが必要な生活は成り立ちません。
(注1)「(耕論)『0歳児選挙権』の波紋 駒崎弘樹さん、瀧川裕英さん、吉田徹さん」(2024)『朝日新聞』2024年8月3日。







