根拠はありませんが、個人の幸福を無理なく追求していける社会が実現できれば、家族を作ることに積極的な人が増えてくるような気がします。

 少子高齢化問題は現代の社会システムが限界を迎えた結果であり、出生率の低下に操作的に対応しても大きな流れは変えられない、と金子隆一は言います(注3)。

 経済成長を追い続けている今の社会は、豊富な生産年齢人口と化石燃料の大量消費を前提にし、民主主義と市場原理に基づいて、豊かさを求めてきました。

 その結果として、出生率が下がり社会が高齢化したので、有権者に占める高齢者の割合が増え、高齢者層の政治的影響力が強くなっています。

 また、若い世代からの需要が相対的に少なくなっていくので、社会の資源分配が高齢者層に偏っていきます。

 つまり、今の社会システムは青少年層や子育て世代に不利に働くので、このままでは、「絶滅の渦」と同じ性質(負のスパイラル)を持つ「少子化と高齢化の罠」から抜け出すことができません。

 金子は人口問題を「歴史からの挑戦状」だと捉え、新しい社会システムを創りあげなければならない、と訴えています。

明日に向かって生きる意志が
生活と将来に希望をもたらす

 人間は、今日飢えることがないならば、明日に向かって生きていくものだと思います。明日、何かをする予定があると、今日は特別なことがなくても、なぜかワクワクするでしょう。

 何かをしたい、何かになりたい、という希望や期待が生活に活気をもたらします。この希望を自分から少し離れて次世代への期待として捉えられないでしょうか。

 次世代にとって希望に満ちた社会が自分の将来を支えてくれると考えられないでしょうか。今日の生活は絶対的に大切ですが、それが保証されるなら、明日のことを考えましょう。次の世代のことを考えましょう。

(注3)金子隆一(2018)『新時代からの挑戦状――未知の少親多死社会をどう生きるか』一般財団法人厚生労働統計協会。