
2024年の人口動態統計で、日本人の出生数がついに70万人を下回った。合計特殊出生率も大きく低下し、少子化が加速している。これは年金制度の持続性にも重大な影響を及ぼし、「百年安心年金」の前提を根底から揺るがす。年金制度全体の見直しと、共働き前提の社会制度改革が急務である。(昭和女子大学特命教授 八代尚宏)
出生数70万人割れ
少子化のペースが加速
6月4日に公表された2024年の人口動態統計によれば、日本で生まれた日本人の子どもの数は前年比5.7%減の68万人で、初めて70万人を割った。80万人割れが22年であり、少子化のペースが加速している。
これは1人の女性が一生の間に産む子ども数(合計特殊出生率)が1.15と前年1.20から大きく落ち込んだことと、子どもを産む可能性のある出産適齢期の女性数も持続的に減少していることとの相乗効果の結果とみられる。
次ページでは、出生率の見通しはなぜ誤ったのかを検証するとともに、甘い人口見通しに基づいた年金制度の改革の必要性などについて触れる。