久光製薬が非上場化へ、「サロンパス」は国内不振でも製薬会社トップから「うらやましい」の声が漏れるワケPhoto:123RF
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

「うらやましい」「先を越された」「気持ちはわかる」。

 1月7日、都内で開かれた薬業4団体による賀詞交歓会の席上、参加した製薬各社トップからはこんな声が漏れ聞こえた。その前日に発表された久光製薬による株式非公開化に対する感想だ。

 お屠蘇気分がまだ残る6日午前10時半、ブルームバーグが放った「サロンパスの久光製薬が非公開化へ」というスクープが発端だった。創業家出身の中冨一栄社長の資産管理会社が株式公開買い付け(TOB)を行い、経営陣による買収(MBO)するというのが内容。

 午後1時に久光は「非公開化に関して検討していることは事実」「本日中の公表を予定」と適時開示した。しかし、久光が結局MBOを公表したのは日付も変わろうとする午後11時だった。

 TOBは26年1月7日から2月19日まで。中冨社長の資産管理会社「タイヨー興産」が1株6082円で買い取る。「4000億円程度」(久光広報)になるという。全株をタイヨー興産が買い上げた後、久光は上場廃止する。

 ブルームバーグやその後追いをした日本経済新聞などは、久光が非公開化に踏み切った背景には25年10月21日に発足した高市早苗政権下で一気に進んだOTC類似薬の保険外しの議論があると報じた。久光が得意とする貼付薬もその対象に入り、追加費用負担を嫌気したことから需要が減り、業績にダメージを与える公算が大きくなってしまったことがMBOにつながったとする。大方の業界関係者もそう見ている。

 ただ、本誌取材に久光広報は「OTC類似薬の保険外しの議論は決まっていないことも多い」とし、MBOは「前々から考えていた」「OTC類似薬の保険外しの議論は影響を及ぼしていない」と回答した。後述する中冨社長が列挙したMBOを決めた理由でも関連する内容は見当たらず、「一切関係ないというのも逆に不思議」(業界関係者)との意見もあり、真相は藪の中だ。