アプリの価格は180円、仕組みは極めてシンプル

 つまり、「死了麼」は孤独死防止アプリだった。ダウンロード時にわずか8元(約180円)を払ってこれをインストールすれば、自分のIDと連絡先メアドのほか個人情報は一切登録する必要はない。万が一自分に異変が起きたときに大事な人に伝えてくれるという極めてシンプルなコンセプトが、プライバシーの流出と孤独を恐れる人たちに大受けした。

アプリの画面。(左)「今日はまだタッチしていない」、(中)「すでにタッチ済み」、(右)設定画面もシンプル (GooglePlayより引用)「死了麼」アプリの画面。(左)「今日はまだタッチしていない」、(中)「すでにタッチ済み」、(右)設定画面も非常にシンプル (GooglePlayより引用) 拡大画像表示

 さらに、このアプリを開発したのは地方在住、それも別々の都市に住む20代の若者3人。3人はそれぞれ別にフルタイムで働いており、そのスキマ時間にこれを完成させた。かかったコストはわずか1500元(約3万3000円)。なぜ年末になって突然注目が高まったのかは明らかになっていないが、話題が話題を呼んでから「キミたちの会社に投資したい」という人からの電話が鳴り続け、企業評価額は今や1億元(約22億円)に達する見込みだという。

独身者3億人!アプリユーザーで多いのは大都市の25~35歳の女性

 背景には、中国でも一人暮らしの人たちの存在がすでに社会的に無視できなくなっていることがある。

 日本と同様、中国でも、結婚しない人が増え続けている。国家統計局によると、2025年には独身者の数が3億人を突破、総人口の25%以上を占めるに至ったという。もちろん、これには若年層だけではなく、急速な勢いで増え続けている高齢者も含まれている。実際に都市部ではこうした一人暮らしの人向けの家政サービス(掃除、洗濯、片付け、料理)も大きなビジネスチャンスになっている。

 一人暮らしが当たり前化する中で、人間関係が以前と変化し、友人や職場の同僚との関係も変化した。アプリページのコメント欄には「初めて自分の生死を気にかけてもらえた」という書き込みがあり、多くの「いいね!」を集めているらしい。「死了麼」アプリの登録ユーザーの傾向を見ると、上海や北京、広州や深センといった、中国指折りの大都市に住む25歳から35歳の女性が圧倒的に多いという。