浴室に30時間閉じ込められた女性
数年前、ある大都市で一人暮らしをする女性が、自宅でシャワーを浴びたあとで浴室から出ようとしてドアが開かなくなっていることに気づいた。更衣室に置いたスマホAIに呼びかけたがドア越しでは声が届かず、浴室内に置かれた物品でドアノブを壊そうとしたものの失敗し、そのままバスタブの中で夜を過ごすハメとなった。結局、水道管を叩き続けた結果、その音に気づいた隣人が警察に通報してくれ、救出されたのは30時間後だったという。
中国ではもともと、家族や隣人関係が濃密だったが、若い人や働き盛りが都会に働きに出るようになって、故郷と疎遠になるケースも増えている。
都会生活に慣れ親しんでしまうと、田舎の昔ながらの生活スタイルや習慣、さらには家や地域の設備やサービスもすでに納得できないことが多い。また濃密すぎる関係性――例えば、親や家族が日頃から隣人に「自慢」しているせいで、たまに帰省した当人が近所の見知らぬ住民にこと細かに自分の近況を尋ねられる、など――もひたすら「ウザい」。そのため、故郷の親たちに自分の都会での近況をあまり伝えなくなった結果、ますます溝が深まっている家族も少なくない。
だが、都会での生活でトラブルに見舞われた際、誰に頼るのか。もちろん、故郷の友人や親でもいいが、やはり近隣に暮らす知り合いに駆けつけてもらいたい。さらに「今巷で話題のあのアプリ」の流行に乗ることで、日頃そこまで親密ではない関係の相手の心の枷も外れやすく、メアドの交換登録が可能になる。
「死了麼」アプリの爆発的人気は、このアプリの非常にシンプルな機能性が、逆にそんな都会人の寂しさや不安にうまくフィットした結果だといえるだろう。
早くも出現した課題と批判
とはいえ、話題に引き寄せられるように使い始めたのはいいものの、すでに飽き始めている人もいる。ネットには、離れて暮らす家族が「自分の死亡通知を受け取ったと言ってきた」などという話もアップされている。確かに、シンプルではあるものの、毎日毎日ほぼ同じ時刻に一つのアプリの通知に対応しなければならないとなると、少々わずらわしい。飽きてしまう人が出ても不思議ではない。
さらには、「2日連絡がないと3日目に通知を受けて駆け付けても、それでは自分が『遺体発見者』になるだけ。それも怖い」という声も出現している。また、「今の時代、誰もメールなんか見ないよ。SMSやSNS、あるいはその他のアプリに通知される方が望ましい」という、これまた中国的な要望も出てきた。







