1973年から2003年にかけて、彼は一介の経営コンサルタントからマッキンゼー・アンド・カンパニーのトップポジションまで上りつめた。

 数百万ドル(数億円)を稼ぎ、並外れた成功を収めたのちに、彼はゴールドマン・サックス、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、アメリカン航空といった優良企業の取締役を務めた。同時期に、彼は、これらの企業の株式を取り扱うヘッジファンドのパートナーでもあった。

 グプタは「機密情報」を漏洩し、ヘッジファンドに多大な利益をもたらした。

 2012年、グプタはニューヨークで証券詐欺罪により有罪判決を受けた。インサイダー取引事件で2年の禁固刑と500万ドル(当時のレートで4億円)の罰金刑が科せられた。

 だが、それだけではない。はるかに深刻なのは、事件により彼の「評判」は失墜し、キャリアに終止符が打たれたことだ。

 このような話は数多く存在する。

 わたしたちはこのことから何を学べるか、4点ほど指摘しておきたい。

これまでに得た「評判」は
とても貴重な資源となる

 1つ目。「自分の評判」をお金のために危険にさらしてはならない。

 それは常に愚かな考えではあるが、あなたがラジャット・グプタのように、すでに名誉も莫大な資産も所有しているならば、とりわけ愚かな行為だ。

「評判」と「お金」の交換には、特別な性質がある。つまり、これは「一方向でしか機能しない」ということだ。

 あなたは自分の「評判」をお金に換えることはできる。だが、元には戻せない。

 それに関してウォーレン・バフェットは次のように述べている。「今もっている必要なものを、実際には必要でもないもののために危険にさらすのは正気ではない」。

「評判」は、「お金」よりも、はるかに貴重な資源だ。

 史上もっとも成功を収めたコングロマリット(異なる業界・業種の複数の企業が1つの大きな企業グループを形成する戦略)を築きあげたバフェットは、ときおり自社のCEOたちに宛てて短い手紙を送っている。

 2010年には次のように書いた。「わたしたちはお金を失うことは許されます。多額のお金さえも。しかし、わたしたちの評判を失うことは許されません。ほんのわずかな評判ですらも許されないのです」。

 評判は商品ではない。