【真のアドバイス】
「報酬」という刺激の危険性を知っておこう

 ある人を理解できないときに、すぐに相手の性格に原因があると考えたり、知性を疑ったり、その人の幼少期を詮索したり、家庭内の問題を分析したりしないこと。

 まずは、その人がどのような「動機」で行動しているかに目を向けよう。

 人の行動の90%は、インセンティブシステム(報酬という刺激)で説明できる。

 チャーリー・マンガー(編集部注/投資持株会社バークシャー・ハサウェイの副会長で、ウォーレン・バフェットの右腕。故人)は、それについて次のように書いている。「どんなインセンティブシステムかを教えてくれたら、結果を予測できる」。

 たいていの人は、たとえ道徳的に疑わしいものであったとしても、まったく意味をなさないものであったとしても、すぐに、そして一貫して、「強い報酬」という刺激に反応する。それにより、もともとあった動機づけが低下してしまう。

 この現象は「過剰正当化効果(アンダーマイニング効果)」と呼ばれている。

 愚かな報酬システムが、愚かな行動へと導いてしまうことで、当然のことだが悲劇的な結果がもたらされる。

 これに関して注意点を2つ挙げておこう。

 1つ目。愚かな報酬システムの発案者にはならないこと。

 2つ目。そのような報酬システムの犠牲者にならないこと。

 順番に説明しよう。

自分の収入に関心を向けすぎると
さまざまなものを失うリスクも

 まず、第1のポイント。たとえば、あなたが弁護士なら、「クライアントの満足度」に関心があるだろう。セラピストなら「患者の健康状態」に、コンサルタントなら「顧客の成功」に関心があるはずだ。

 しかし、特に関心があるのは「自分の収入」だ。

 つまり、あなたには、本来の動機であるクライアントへの関心のほかに、できるかぎり報酬を増やす、というもうひとつの動機が加わる。それによって、必要以上に時間をかけてコンサルティングするかもしれない。

 その場合、あなたは疑わしい報酬という刺激のワナにはまり込んでいる。なぜなら、あなた自身のメリットを優先したときに、あなたはクライアントや患者、顧客に対して、金銭的な損害を与え、長期的な信頼関係を危険にさらしているからだ。

 担当弁護士は不必要に時間を延長して料金を請求する、とクライアントが疑念を抱けば、あなたの信頼は失われる。