Bさんのケースを解説しましょう。業務の必要性と社員の生活への影響を天秤にかけたとき、親の介護という切実な事情は、転勤を拒否できる正当な理由になり得ます。
実際にこのケースでは後日、人事部から「福岡転勤は当面見送り、在宅勤務を前提とした現部署での継続勤務」との連絡が入りました。「本人でなければ代われない介護」という事情が、不利益の重大さとして評価されたのです。
転勤トラブルを防ぐ!Q&Aで深掘り
ここからは、社会保険労務士である筆者が現場で強く感じている考えも交えながら、Q&A方式で深掘りします。前編では4問解説しましたので、そちらも併せて見てみてください。
実務で重要なのは、「法律上どうか」だけではありません。「なぜ揉めたのか」「どこで行き違ったのか」を理解することです。多くのトラブルは、転勤命令そのものよりも、その伝え方・受け止め方に原因があります。
Q)社員は「転勤を拒否したい」と思った場合、拒否することは可能ですか。
A)可能かどうかは事情次第ですが、「拒否します」と宣言した瞬間に関係がこじれるケースは非常に多いです。一方で、「事情があり、対応の再検討をお願いしたい」と伝えたケースでは、柔軟な対応がなされることも珍しくありません。
法的に見れば、契約上転勤が予定され、業務上必要性が高い場合、一方的拒否は懲戒や人事評価上の不利益につながる可能性があります。重要なのは、対立構造を作らないことです。
Q)転勤について相談する際、社員として準備しておくべきことは何ですか。
A)感情ではなく、事実を整理することです。
・介護や育児の実態
・利用している制度やサービス
・転勤によって生じる具体的支障
・いつであれば対応可能かという代替案
これらを整理して伝えることで、会社側も検討しやすくなります。







