投票先決める「判断基準」も示す
「マーケットの反応」を重視

 最初に、ChatGPTに対して、今回の総選挙の争点についての各党の主張を、主として、経済政策(消費税減税、物価高対策など)、社会保障関連問題、外交・防衛政策について、まとめるように指示した。

 これは、日本や外国のメディアなどが報道していることをまとめているだけだから、ChatGPTによって新しい情報が得られたわけではない。また、従来の検索エンジンで得られる情報と基本的に同じものだ。

 ただ、最新の情報を簡単に見られるのは便利だ。また、自分が関心のある領域について、焦点を絞ってより詳しく聞くことができるのも便利だ。

 例えば、年齢別にどのような論点が重視されているかという整理も示してくれた。若年者の場合には日常生活の困難が最重要事項と捉えられているのに対して、高齢者の場合には社会保障の問題が最重要と考えられているなどということを、いくつかの調査を基にした情報が得られた。これは大変興味深い結果だ。

 生成AIが選挙で役立つ可能性を実感したのは、投票先を決める際の判断基準について対話をしたときだ。これに関してはChatGPTから重要な助言が得られると分かった。

 私がとりわけ大きな関心を持っていたのは、「最近時点でのマーケットの反応がどれほど重要か」という評価だ。

長期金利上昇は「重要な論点」と返答
専門家らの問題意識を共有するAI

 ここで「マーケットの反応」というのは、主として長期金利(10年物国債金利)の上昇だ。2022年には0.21%程度だったが、高市早苗氏が自民党総裁に選ばれた25年の11月ごろから急速に高まり、最近は2.3%を超えるまでに至っている。

 これは、将来の国債増発や財政運営への不確実性が意識され始めたためだ。そうなった大きな原因は、高市氏が積極財政政策を標榜しているからだ。マーケットは、これによって日本財政が将来資金不足に陥ることを予測した。その“危険信号”が長期金利の上昇なのだ。

 ところが、こうした問題意識は専門家の間で共有され、メディアでも一部は報じられてはいるが、一般の人々が大きな問題としてリアルに危機意識を持つには至らないのではと私は考えていた。

 長期金利の上昇は、住宅ローンの金利の引き上げなどを通じて、人々の生活にも直接の影響を与えるという点は問題視されているのだが、日本経済の全般にわたる深刻な危機として認識されることはないのではという感じを持っていた。

 これは、従来のメディア報道が、金利上昇を「金融市場の話題」や「住宅ローン金利の問題」として断片的に扱いがちだったこともあって、財政政策や経済運営全体へのシグナルとして十分に意識してこなかったこととも関係しているだろう。

 だが、この点についてChatGPTに聞いたところ、「これは重要な論点である」との返答が返ってきた。