トランプ大統領Photo:Andrew Harnik/gettyimages

経済堅調だがトランプ支持層は関税で打撃
中間選挙意識し「MAGA」促進を進める!?

 ニューヨーク市長選での「反トランプ」を掲げた無名のマムダニ氏の当選や、バージニア州およびニュージャージー州知事選での民主党候補の相次ぐ勝利など、トランプ政権への逆風が強まっている。

 43日に及ぶ政府機関の一部閉鎖による混乱や物価高への国民の不満の高まりが背景にあるが、米国経済は、これまでのところ、大規模なトランプ関税が景気減速を招くとの懸念に反し、高成長を維持している。

 その一因はAIブームにあり、2025年に入った後、デジタル・AI関連投資の拡大により、実質GDP成長率は平均1%以上押し上げられている。また、AI関連企業を中心とした株価上昇は、金融資産の増価を通じて、富裕層の消費を押し上げ、関税による内需下押し圧力を相殺している。

 だが、消費拡大を牽引しているのは所得上位20%であり、米国経済の富裕層依存は一段と強まっている。

 一方で、これまで米国企業が主に負担することで抑えられてきたトランプ関税の消費者への価格転嫁が徐々に進み、内需は緩やかに減速する見通しだ。

 26年の米国経済は、AIブームや株高によるAI関連企業の投資拡大や富裕層の消費拡大と、トランプ関税の価格転嫁が進むことによる家計への打撃という「二極化」が一段と進む。

 関税の価格転嫁はトランプ支持層の低・中所得層への影響が大きく、議会中間選挙を意識して、トランプ政権は「MAGA」促進の政策を加速するとみられる。

 日本に対しても対米投資や輸入拡大などの圧力や「ディール」を強めることが懸念される。