Photo:Kevork Djansezian/gettyimages
ドナルド・トランプ米大統領は先週、連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にケビン・ウォーシュ氏を指名するという賢明な判断を下したが、この人事は上院の承認を得る必要がある。大きな障害となっているのは、トランプ政権が進めるジェローム・パウエル現議長への刑事捜査であり、トランプ氏は自らの政治的利益のためにそれをやめさせるべきだ。
連邦検事は最近、パウエル氏が首都ワシントンにあるFRB本部ビルの改修工事に関して昨夏行った議会証言を巡り、刑事訴追を示唆する召喚状を同氏に送付した。改修費は見積もりより何億ドルも膨らんでいるが、それは政府の建設事業ではあまりにもよくあることだ。
われわれはこの召喚状を確認していないが、見たことのある人々によれば、この召喚状は、パウエル氏を訴追するための材料ならどんなものでも手当たり次第に探し出そうとする広範な情報収集を示す内容になっている。改修工事に関するパウエル氏の証言からは、犯罪的な意図は全く確認できない。これが示唆するのは、ワシントン連邦地検のジャニーン・ピロ検事正による捜査は、トランプ氏の希望通りの積極的な利下げをしなかったとしてパウエル氏を罰するのが目的だということだ。
トランプ氏が自身の指名した人物をFRB理事にしようとする上で、この政治的な法廷闘争が裏目に出る可能性がある。トム・ティリス上院議員(共和、ノースカロライナ州)は1月30日、ウォーシュ氏を「金融政策に精通する適任の候補者」と称賛した。一方でティリス氏は、パウエル氏に対する捜査が決着するまで、トランプ氏の指名によるFRB人事を支持しないと改めて表明した。
ティリス氏は、ウォーシュ氏の指名を審議する上院銀行委員会のメンバーだ。同委員会のメンバーは共和党が多数派(共和13人、民主11人)だが、ティリス氏の支持がなければ審議は難航する公算が大きい。共和党のジョン・スーン上院院内総務は1月29日、ティリス氏の支持がなければ上院はおそらくFRB議長候補を承認できないだろうと述べた。トランプ氏からソーシャルメディア上で激しく非難されたティリス氏は、今年の中間選挙に出馬しない意向を示している。このため、ティリス氏がトランプ氏への抵抗をやめる動機はほとんどない。







