――墓じまいの実務の現場では、今どのような変化が起きていますか。
「墓守」という概念そのものが減ってきています。かつては家督を継ぐ者がその土地にとどまり、墓を守っていました。しかし、今は「墓守不在」が主流。相談に来られる方の多くは、都心や都心近郊に住み、地方の墓へ何年も訪ねられていない方もいます。
――地方の墓をしまうためには、どのような手続きが必要ですか。
墓じまいには「改葬許可申請」という行政手続きが必要で、これには寺院への申し入れや、新しい納骨先との契約がセットになります。
親が元気なうちは墓じまいが難しいお宅も多く、思い入れのある土地から墓を移すことに抵抗感がある高齢者もいます。しかし、子に迷惑をかけたくないという意向で、ご両親自ら墓をしまう方も増えています。とにかくまずは、親子で今後地方の墓をどうするのかしっかりと話し合うことが大切です。
数百万円が必要になることも
誰が負担するのか決めておくこと
――親が健在なうちに、具体的に何を話し合っておくべきですか。
「先祖代々の墓をなくす」という心理的抵抗を解消しておく必要があるでしょうね。「お墓を捨てるのではなく、私たちが通いやすい形にアップデートする(引っ越す)」というポジティブな考え方がおすすめです。
今回の事例では都内から遠い新潟に墓があり、震災の影響がなくてもいずれは墓じまいをする必要があったと考えられ、費用の問題もありますから、もっと早くから親子間で遺骨の対応を決めておくとよかったと思います。
最近は「合祀(ごうし)」や「樹木葬」、「海洋散骨」など選択肢が多様です。親が「合祀で知らない人と一緒になるのは嫌だ」というのか、「自然に還りたい」というのかなど、好みを把握しておくだけでも、子世代による墓じまいは楽になります。
墓じまいと改葬には、解体工事費や離檀料、新しい場所への納骨費で、数百万円単位の資金が動くこともあります。これを「親の資産(相続財産)」から出すのか、子が負担するのかも決めておくことがおすすめです。
※プライバシー保護のため、登場人物に関する情報の一部を変更しています。
>>【第1回】「【墓じまいトラブル】「お気持ちが足りない」高額の離檀料を要求する住職を一変させた、54歳男性の「ひと言」」を読む








