とあるビジネスメディアの編集長はこう言っていました。
「いま当社のメディアは有料記事が稼ぎ頭。有料記事を読んでもらうコツは、『最初に結論を言わないこと』です。結論が最初に読めたら、誰も『続きを読む』課金なんてしませんよね?結論がなくとも興味をひかせる導入を書く。それがプロというものじゃないでしょうか?」
これは、拍手喝采。「文章は結論から書け!」というロジック、どうでしょうか。なんだかちょっと怪しくなってきました。
そんなとき、結論の代わりを務めるのが「共感(empathy)」です。「共感」とは、もう少し詳しく書くと(1)みんなが潜在的に困っている問題提起(problem)、(2)その文章で語ることの理念(philosophy)、このふたつの「P」からなります。
どちらかを冒頭に持ってくることで、読者はグッと文章を自分事化することができるわけです。
問題提起や理念の提示が
聴衆の心を揺さぶる
これはビジネスのプレゼンテーションでよく使われる手法です。次の「空気清浄機」についての例文で一番最初の「結論スタート」の文章と、その他を比べてみてください。
× 圧倒的なほこりの除去力を誇る空気清浄機が登場しました!
○ 一般家庭のハウスダストを調べると、1gのほこりの中になんとダニ約2000匹がいます。これは由々しき問題ではないでしょうか。(問題提起)
○ 子どもの花粉症は年々増えています。私はこの状況を絶対に改善したい。(理念)
結論、すなわち「言いたいこと」は「新製品の登場」です。しかし、読者(聴衆)が飽きずに、ここから始まるストーリーに興味を持ってくれるのは2番目と3番目の文章のはず。
優秀なプレゼンテーターは、必ず「共感」をつかみとして導入で使います。最後まで読んでほしい文章も同じ。意外な問題提起。熱くまじめな理念。このふたつが読者(聴衆)を動かすのです。
え?この記事の出だし?
「世の中の『日本語入門』的なテキストを見ると、かなりの多くのものでこう書かれています。『文章は結論から書け!』。これは、ある意味正解で、ある意味間違い」
世の中で一般化していることが絶対正解じゃないよ、という「問題提起」から入ったつもりなのですが……最後まで読んでいただけましたでしょうか?








