日本人が英語を学習する場合、上級者になっても、たとえば冠詞のaやtheを正しく使用することは、なかなか厄介です。母語話者として英語の文法を獲得すれば、そのような問題は起こりません。

 文法的な誤りが生じないことは、ネイティブスピーカーの言語力の特徴の1つとなっています。

 音韻(編集部注/言語音声を構成する最小の単位のことで、母音と子音に区別される)獲得の臨界期は生後1年未満と早いです。文法獲得の臨界期は、どうやらもっと後になるようです。

 基礎的な文法の獲得は6歳くらいまでに完了することがわかっていますが、それ以降、思春期までにより洗練され、正確さが増していきます。

文法力は30歳でピークを迎え
バイリンガルにも追いつく

 ここからは、先に紹介した米国の研究からわかったことをかいつまんでお伝えしたいと思います。まずこの研究は、英語を母語とするモノリンガルの成人が最終的に到達する、文法力のピークに着目します。

 そして、思春期の学習を経て、英語の母語話者が文法力のピークに達するのは30歳ごろであると報告しています。言語力のピークに達するのが30歳ごろという発見に、言語獲得には思ったよりも時間がかかると感じる人も多いのではないでしょうか。

 文法の学習が17歳まで順調に進み、そのあと急激に効率が下がることも、この研究からわかりました。このことから、文法学習の臨界期は17歳までだと提案されています。言語学習の臨界期が、これまで想定されていたよりも長期間にわたることを示唆していると言えるでしょう。

 英語のモノリンガルではありませんが、生まれた時から家庭で英語を使っていた同時性バイリンガルもやはり30歳ごろに、モノリンガルに最も近い英語力のレベルに達していることが、この研究からわかりました。

 それに次いで高い英語力を達成したのは、8歳までに英語圏に住み始め、英語で教育をする学校に通っていたバイリンガルでした。