興味深いことに、英語圏に住み始めて英語で教育を受け始めた年齢が幼児期の2歳であっても、就学前の5歳であっても、就学後の8歳であっても、英語力の最終的な到達レベルは変わらなかったということです。
一方、英語圏に1年未満しか住んでいなかった英語学習者は、英語圏に住んで長期的に教育を受けた人と比べて、英語力の最終的な到達レベルが低かったそうです。ただその中では、4歳から11歳の間に学習を開始した場合に、到達レベルが最も高くなっていたと報告されています。
この研究では、いずれの場合も、成人の言語力のピークに達するのには学習開始から30年ほどかかると推測されています。そして10歳より前に学習を開始した場合に、到達度は最も高くなると考えられています。ただしこれは、学習を継続して行っていた場合に限ります。
乳幼児期からあわてて
英語学習を始める必要はない?
この研究が示唆しているように、英語の文法学習の臨界期が17歳までと思春期後期であり、10歳より前に英語の学習を開始した場合に、成人の英語力のピークが最も高くなるとしましょう。
『バイリンガルの壁――子どものことばの発達をどう支えるか』(松井智子、岩波書店)
そうすると、臨界期までの非常に効率の良い学習には、少なくとも8年という年月をかけることになります。そしてその後、ゆっくりと10年以上の年月をかけて、文法能力をさらに洗練させていくことになるので、なかなか長い道のりになりそうです。
その一方で、文法に関して言えば、バイリンガルとして現地での英語学習を2歳で開始しようが、8歳で開始しようが、成人になってからの最終的な到達レベルは変わらないということがわかりました。
このことは、子どもが英語学習を開始するとしても、乳幼児期にあわてて始める必要はあまりないことを示しているように思いますが、いかがでしょうか。







