「1日で1900億円」
中国で起きている熱狂の正体

 中国版TikTokである「Douyin(抖音)」を中心としたライブコマース市場では、想像を絶する規模の取引が行われています。例えば、中国の「口紅王子」と呼ばれるトップインフルエンサー、リー・ジャーチー氏は、独身の日(11月11日)のセールにおいて、1日で約1900億円相当の売り上げを記録したと報じられています。

 また、コメディータッチのライブ配信で知られる「瘋狂小楊哥(Crazy Little Yang Brothers)」は、年間売り上げのピークが約6000億円に達したとも言われています。

 さらに面白いのは、元英語教師が商品を販売しながら歴史や文化を語る「教養系ライブコマース」で大ブレイクした董宇輝(Dong Yuhui)氏のような事例です。彼は、単なる安売りや煽りではなく、知的なストーリーテリングで商品を付加価値化し、年間約1860億円規模の売り上げをつくっています。

「それは中国の話だろう」と思われるかもしれません。しかし、この波はすでに世界中に広がっています。

 米国では、元教師のユーザーが、失職中にTikTok Shopのアフィリエイトを開始し、わずか1年でコミッション収益だけで約1160万円を稼ぎ出すなど、一般個人が「コマーサー(販売者)」として成功する事例が次々と生まれています。美容師のユーザーが5日間のライブ配信で1億円を超える売り上げをたたき出すなど、日本でもその兆しはすでに現れています。

 これらは決して特異な例ではありません。TikTok Shopというプラットフォームが持つ「構造的な販売力」が、誰にでもチャンスをもたらしている証拠なのです。

「若者のダンスアプリ」は誤解
平均年齢は40歳前後

 ビジネスパーソンの中には、TikTokを「10代がダンスを踊っているアプリ」と認識している方がまだいらっしゃるかもしれません。しかし、その認識はアップデートが必要です。

 現在、日本のTikTokユーザーの平均年齢は「40歳前後」といわれています。これは、ECで日常的に買い物をする購買層ともいえます。