驚異的な記録を残してきたイチローの成功の秘訣イチロー選手 Photo:SANKEI

日米の野球界で歴史的なヒットメーカーとして知られる、イチロー選手。野球選手として驚異的な記録を残してきた彼の成功の秘訣はどこにあるのか。オリックス時代に専属打撃投手だった奥村幸治氏と、イチローウォッチャーとして知られる料理評論家の山本益博氏が解説する。※本稿は、株式会社致知出版社代表取締役の藤尾秀昭(監修)『1日1話、読めば心が熱くなる365人の人間学の教科書』(致知出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

イチロー選手の目標設定術
奥村幸治(宝塚ボーイズ監督)

 2軍でプレーしていたイチロー選手は、夕方に練習を終えると、早々に眠りに就いた。そして皆が寝静まる深夜にこっそり部屋を出ると、室内練習場で数時間の特打ちをするのを日課としていた。

 ところがシーズンが始まり1軍入りを果たした彼は、全くと言ってよいほど練習をしなくなってしまったのである。不思議に思って尋ねてみたところ「体が疲れ過ぎるとバットが振れなくなるから」とのことだった。

 1軍でまだなんの実績もない選手が、自分のいまやるべきことは何かをちゃんと理解して行動している。私の知り合いにもプロ入りした者が数名いたが、彼の取る行動や言葉のすべては、他とは一線を画すものだった。例えばこんな調子である。

「奥村さん。“目標”って高くし過ぎると絶対にダメなんですよね。必死に頑張っても、その目標に届かなければどうなりますか?諦めたり、挫折感を味わうでしょう。それは、目標の設定ミスなんです。頑張ればなんとか手が届くところに目標を設定すればずっと諦めないでいられる。そういう設定の仕方が一番大事だと僕は思います」