◆「理屈はわかるけど…」とごねる部下の正体。一流が使う“論理を捨てて◯◯させる”技術
部下が動かない、Z世代との距離感がつかめない……そんな悩みを解決するのが、ソフトバンクで「汐留の母」と呼ばれた澤田清恵著『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)だ。生身のリーダーに求められる最強の武器は生成AIには代替できない「コミュ力(共感力)」。単なる同情ではなく、相手の視点を論理的に理解する「認知的共感」の技術を体系化した、悩める上司たちの「読むサプリ」だ。呼吸を合わせる基本から、自身の無意識を言語化する応用、さらには「飲み会の失敗事例」や「エース部下の退職」といった実例に基づく「しくじり」分析まで網羅。表面的なテクニックではなく、心・技・体を整え、信頼で組織を動かすための実践的ノウハウが詰まった決定版!
※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
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「理屈はわかるけれど、なんとなく気が乗らない」
部下のタイプを見極め、言葉を「届く」ものにするための技術、VAKモデル。視覚(Visual)、聴覚(Auditory)に続き、最後は日本人の多くが持つとも言われる「身体感覚(Kinesthetic)優位タイプ」へのアプローチと、全タイプを見分けるための「観察の技術」について解説します。
「しっくりこない」
部下からこのような反応が返ってきたとき、論理で説き伏せようとしていませんか? それは逆効果かもしれません。彼らは「理屈」ではなく「感覚」で世界を捉えているからです。
「体験」と「つながり」を重視する身体感覚タイプ
身体感覚優位タイプは、文字通り「身体で感じる感覚」や「場の空気・雰囲気」に非常に敏感です。彼らの判断基準を理解するために、マンション購入の例で考えてみましょう。
視覚タイプが「眺望」、聴覚タイプが「資産価値」を重視するのに対し、身体感覚タイプのお客様は、実際にその場に立ったときの「体験」を何よりも大切にします。
●ひんやりとした大理石の質感
●日差しの温かさや、部屋全体の「居心地」
彼らにとっての納得(クロージング)は、論理的な説明よりも、心地よい空間と、営業担当者の誠実な雰囲気、つまり「人とのつながり」を通して生まれます。「I got it(なんとなく掴めました、感じ取れました)」という言葉が出れば、彼らの心は動いています。
「身体感覚優位」な部下へのマネジメント活用法
このタイプは、チームの雰囲気(モラール)や人間関係を大切にする傾向があります。彼らのモチベーションを高めるには、以下のポイントを意識してください。
➊指示出しは「体験」させる
マニュアルを読ませるだけでなく、「まずは一緒にやってみよう」と体を動かす機会を作ってください。OJT(職場内訓練)やロールプレイングなど、実体験を通して学ぶのが最も早いです。また、メール一本で済まさず、直接席まで行って声をかける、肩を叩いて励ます(ハラスメントに注意しつつ)といった、物理的な接触や距離感の近さも安心感につながります。
❷「安心感」と「納得感」を醸成する
彼らは「急かされる」ことを嫌います。ゆっくりと腹落ちするまで待つ姿勢を見せ、「君が納得するまで話そう」と寄り添うことで信頼が生まれます。また、彼らはリーダーの「本音」や「誠実さ」を直感で見抜きます。嘘や建前は通用しないと心得てください。
➌褒めるポイントは「人間性」や「所作」
成果そのものよりも、そこに至るプロセスや、彼らが醸し出す雰囲気を褒めましょう。
●「お客様への丁寧なお辞儀、とても誠実さが伝わってくるよ」
●「いつも周りを気遣ってくれてありがとう」
このように、「人間性に関する要素」や「所作・振る舞い」を承認されることで、彼らは「自分の存在が受け入れられた」と深く喜びます。
